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2月17日、米「オークツリー・キャピタル・グループ(OAK)」の中国の100%子会社の会社登記が完了し、中国初の外資系金融アセットマネジメント会社(以下、「AMC」)になった。同社の法定代表者はOAKのアジア太平洋地域事業開拓担当の副総裁・孟圓圓氏である。
AMCの主要事業は不良資産の買収と処分を通じて、金融リスクを解決することである。不良資産は通常景気が不調の時期に拡大しやすい。中国の不良資産市場は1兆元(約16兆円)規模であり、投資のチャンスがあると見られている。この業界では、「華融(CHAMC)」、「長城(CGWAMC)」、「東方(COAMC)」、「信達(CINDA)」の4社がシェアの90%を占め、主導的な地位にある。また、地方のAMCや銀行系列のAMCも存在するが、外資AMCの誕生は市場に新しい風を吹き込みそうだ。
OAKの創業者のハワード・マークス氏は不良資産投資の世界的な権威である。彼の経営のもとで、OAKは世界最大の不良債権投資者に成長し、同分野に20年以上注力し続けてきた。OAKは低価格で倒産寸前の会社の資産を買収し、再編後に高値で売却することで巨額なリターンを獲得している。2019年末時点で、同社が管理する資産は1250億ドル(約14兆円)で、貸付金、現物資産、PE持分、上場株式などがある。中では、貸付金の比率が64%であり、そのうち不良債権が194.13億ドル(約2兆円)で、各種資産の中でトップになっている。
関連の報道によると、OAKの中国エリア総経理の巢瀚婷氏は北京金融管理監督局のトップに、中国経済は短期的に新型肺炎による影響を受けるが、OAKは長期的な視点で経済のファンダメンタルズに注目しているため、短期的な影響があっても、中国経済が長期的に成長するという観点を変えることはないとアピールした。
北京市政府も外資金融機関の事業展開にオープンな態度を示している。北京市金融管理監督局によると、同局は現在20社あまりの北京を進出する意欲がある企業をフォローアップ中で、今後はより多くの大手金融機関が北京で事業展開できるようになるという。
OAKは2004年に株持分による投資という方式で中国市場進出を始めた。2013年に、最初にQDLP(適格国内有限責任組合)の資格を取得した国外企業の1つとして、中国不良債権ファンドの募集を開始し、4大AMCのうちの信達と連携し、2015年に中国国内初の不良資産買収を完成させた。
一部報道によると、2015年以来、OAKは中国で8件の不良資産パッケージを買収し、2019年10月までに、グレーターチャイナ地域で累計75億ドル(約8300億円)超を投資したという。
また、ハワード・マークス氏は、繰り返し現段階の中国市場の投資価値に肯定的な意見を発表し、昨年5月上海での講演時には、中国は他の地域より成長が速いため、躊躇なく中国へ投資すると話した。
同講演において、マークス氏は「市場不況で、投資家が悲観的になり、人々が恐怖を感じ、欠損が一般的になり、リスクを過剰に危惧する」という6つの状況が発生した場合、資産価値もリスクも低くなる一方、リターンが高くなるため、自信を持って買い入れるべきだと語った。
上記の発言により、OAKが新型肺炎が流行している最中でも中国の不良資産市場への進出を継続する理由が分かるかもしれない。中国市場への長期的には楽観的な見通しと、目下の経済の失速、資金調達が困難になる現状を鑑み、マークス氏は中国でその名高い投資テクニックで再度成功を収めたいのだろう。
図は「東方IC(IC Photo)」とOAKの公式サイトより
(翻訳:小六)
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