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新型コロナウイルスの感染拡大は、中国企業の資金調達にどのような影響を与えているだろうか。ここにQ1のデータをまとめてみた。
ただし、大規模な資金調達は通常3~6カ月かかるため、Q1に発表されたデータは昨年の取引が中心であり、Q1に行われた取引はQ2、Q3に発表されることが多い。それでも、Q1のデータはVC分野のトレンドをある程度反映している。
資金調達の件数と金額
金融情報サービスの「鯨準(JingData)」の集計によると、2020年Q1に公表された資金調達は671件で、前年同期の60%にとどまった。調達額の合計は前年同期比57%増の2402億元(約3.6兆円)だが、これは「恒豊銀行(Hengfeng Bank)」の1000億元(約1.5兆円)に上る巨額の戦略的資金調達があったためで、それを除けば合計1402億元(約2.1兆円)である。
1件あたりの調達額は3.58億元(約54億円)と近年最高だが、恒豊銀行の調達額を除外すれば、1件あたり2.1億元(約32億円)となる。
2015年以降のデータを見ると、各四半期の調達額は、変動はあるものの1件あたりの平均金額は増加し続けており、2015年Q1の3000万元(約4億6000万円)からはより大幅な増加となっていたことがわかる。
ただ、2020年は感染症の影響により、有力企業なら上半期でも巨額な資金調達が可能となるだろうが、そうでない企業は資金調達が難しくなるだろう。
各シリーズの資金調達件数と金額
2020年Q1に公表された資金調達のうち、エンジェルラウンドは148社、シリーズAは156社、シリーズBは90社、シリーズCは29社、シリーズDは19社で、前年同期比それぞれ232社、186社、66社、37社、23社減少となった。
平均金額は、エンジェルラウンドが1300万元(約2億円)、シリーズAが5300万元(約8億円)、シリーズBが1.39億元(約21億円)、シリーズCが2億元(約30億円)、シリーズDが4億元(約60億円)となった。
15億円以上の調達は170件
2020年Q1で公表された資金調達案件のうち、1億元(約15億円)以上となったのは170件で、その多くがすでに名の知れた企業である。
最高額となったのは上記恒豊銀行の所有制改革に伴う資金調達だった。それ以外では不動産業界の資金調達が上位となり、不動産仲介サイト「貝殻找房(ke.com)」は2019年11月にシリーズD+で24億ドル(約2600億円)、賃貸のO2Oサイト「自如網(ziroom)」は10億ドル(約1100億円)を調達した。両社はともに不動産大手「鏈家(Lianjia)」傘下の企業である。
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コロナウイルス流行により注目されているオンライン教育にも動きがあり、「猿輔導(Yuanfudao)」が3月末に10億ドル(約1100億円)の資金調達を行い、時価が78億ドル(約8500億円)となった。これは教育産業ではこれまで最高額の資金調達である。
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このほかに注目されたのは自動運転開発の「小馬智行(Pony.ai)」の資金調達である。同社は2020年2月にシリーズBで4.62億ドル(約500億円)の資金調達を行ったことを発表している。出資者はトヨタで、評価額が30億ドル(約3300億円)超となった。同日には他の自動運転ソリューション開発企業「馭勢科技(Uisee)」もシリーズBの資金調達を行っている(金額は未公表)。
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企業リスト一覧(中国語)
(翻訳:小六)
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