成長が鈍化している「拼多多(Pinduoduo)」が生鮮食品ECを開始 投資を惜しまない構え

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10月8日、EC大手の「拼多多(Pinduoduo)」が創立5周年記念大会を行った。董事長の黄峥氏は社員向けの講演において、「拼多多は共同購入ECという形態を作り上げ、よりインクルーシブなECを実現した。その過程において、中国の農産物のオンライン販売をも大きく推進し、農家の生活を支援することができた」と、農村における成果を特に強調した。

拼多多で販売される農産物の増加にしたがい、川上産業や流通過程に対する拼多多の影響力が大きくなった。そこに、新型コロナ禍によるオンラインでの生鮮食品購入のニーズが高まったため、拼多多は生鮮食品EC事業を始めることにしたのだ。

新型コロナ禍の最中から、拼多多は小売店舗が周辺住民の買い物のニーズを集約するためのツールをローンチしており、生鮮食品もその対象となっていた。その後、拼多多は正式に生鮮食品ECに乗り出し、2カ月前から「多多買菜」というミニプログラムの内部テストを開始した。ミニプログラム内で注文し、拼多多が近くの店舗まで配達すると、ユーザーが店まで自分で取りに行くという形だ。その後、正式にローンチされた「多多買菜」は、拼多多のアプリ内のタブの1つとなり、注文した翌日に配達するようになった。生鮮食品ECを開始するにあたって、拼多多は例のごとく補助金を準備しており、第一期は10億元(約150億円)近い額になるという。現在このサービスを利用できるのは、一部の二級、三級都市である。

このサービスについて、一部メディアでは「拼多多が得意とする地域コミュニティ向け共同購入の延長」だとしているが、黄氏は講演において、共同購入だけではなく、ほかの手法も合わせたのが生鮮食品ECだと話した。同氏によると、「拼多多は生鮮食品ECにおいて、地域コミュニティ向け共同購入にとどまらない準備をしてきた。拼多多は農産物の販売を目的として起業した会社であり、当初から地域コミュニティでの物流ステーション、地域コミュニティ周辺の小型倉庫といった概念を打ち出していた」という。

黄氏が語っている通り、拼多多がこのタイミングで生鮮食品ECを始めた理由の一つは、当初から農業を革新することを目指していたためである。また、2020年上半期の財務データを見る限り、拼多多の同期の流通取引総額の伸び率は創立以来最低の58%にとどまっている。ECの成長が鈍化していることは明らかであり、生鮮食品のような新しい成長分野が必要なことも、理由の一つだろう。

しかし、生鮮食品ECは競争の激しいレッドオーシャンである。黄氏が講演で語ったように、「生鮮食品ECは良い事業だが、苦しく、時間のかかる事業でもある。拼多多の実力が問われる」のである。そのうえで、黄氏は、すぐに収益を得ることは考えずに、時間をかけて信頼を勝ち取っていきたいとの認識を示した。

(翻訳:小六)

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