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中国の商業データプラットフォーム「CBNData」とアリババ傘下の越境ECプラットフォーム「Tmall Global(天猫国際)」が共同発表した「2019出海市場研究白皮書(越境EC調査レポート)」によると、中国の越境ECは2013年の2兆7000億元(約42兆円)から2018年には7兆1000億元(約110兆円)へと増加し、急成長を遂げているという。
「KOL Master」はSaaSプラットフォームにより、海外に販路を広げたい企業のために現地KOL(専門性の高いインフルエンサー)のマッチングとマーケティング効果の追跡サービスを提供する。
越境ECのチャネルは変化が激しく、ここ数年に勃興してきたインフルエンサーマーケティングもそうしたチャネルの一つだ。KOL Masterの創業者兼CEOである朱正揚氏は、海外のインフルエンサーマーケティング市場は中国国内と大いに異なると述べる。たとえば、中国では基本的にMCN(マルチチャンネルネットワーク)エコシステムが確立しているが、海外のKOLは個々で独立しているケースが多く、オファーの適正価格が分かりづらい。中国企業が海外でインフルエンサーマーケティングを行おうとすると、見積もり価格に基準がない、提携による効果を追跡する術がない、マーケティングキャンペーンを管理する術がないといった事態に直面する。こうした状況では、長期間継続的に投資するのは難しく、管理コストも増大する。
KOL Masterは3ステップで海外KOLのマーケティング追跡サービスを提供する。
インフルエンサー検索:KOL Masterプラットフォームには5万件以上のKOLアカウントデータが集約されており、MCNはプラットフォーム上で発注者・受注者どちらでも登録できる。発注者が自社製品の宣伝に適したインフルエンサーを検索しやすいように、プラットフォームはインフルエンサーのポートレート、インフルエンサーに紐づけされたデータ、発言データなどを提供する。
案件マッチング:発注者は受注候補者にプラットフォーム上で直接オファーするか、具体的な条件を出して公募をかける。
効果性の追跡:受注者が決まると、KOL Masterが全プロセスの追跡を行い、発注者に当該インフルエンサーのプロモーション効果をレポートする。朱CEOは、この追跡システムはKOL Masterを介した契約においてのみ利用できるため、発注者と受注者が規約に反して直接取引するのを防ぐための強力な対策になっていると言う。
海外では「AspireIQ」や「Youtube BrandConnect」など、既に多くの企業がインフルエンサーとMCNのマッチングサービスを提供しているが、KOL Masterは他社とどこが違うのだろうか。
朱氏CEOはこう説明する。AspireIQが独立した米国KOL向けのサービスであるのに対し、KOL MasterはKOLをマネジメントするMCNにもサービスを提供し、MCNのインフルエンサーマーケティングを支援する。Youtube BrandConnectが紹介するのはユーチューバーのみで、入札方式でマッチングを提供するのに対し、KOL Masterは受注者側が見積もりを出し 、FacebookやYoutube、Instagramのインフルエンサーも紹介できる。得意とする広告タイプも異なっている。
KOL Masterのサービス対象は主にアマゾン、「Shopee」「Shopline」などで越境ECを行う中小企業だ。朱CEOによると、これらの企業が越境EC広告にかける予算は年平均30万〜50万ドル(約3100万~5200万円)だが、関係するリソースは多岐にわたる。KOL Masterは非常にシンプルで使いやすく、同社のホームページにアクセスしてから3分もあれば必要とするインフルエンサーを見つけ出せる。
KOL Masterは2020年に設立された。会社設立時にはプラットフォームは既に完成しており、11月からは香港、マカオ、台湾、東南アジアに進出して、インフルエンサーの発掘を進める。KOL Masterプラットフォームの利用料金は現時点で年間2000ドル(約21万円)と設定されており、1回の取引ごとに10%の手数料がかかる。
同社は北京に事業所を構える。創設者兼CEOの朱正揚氏は、ニューヨーク大学で技術経営修士(MOT)を取得した。米AI企業「Nanigans」 中国地区ゼネラルマネージャーを務めていた際には、ゼロからチームを立ち上げ、同社の年間経常収益を25倍に増加させた。
共同創業者の万承宇氏は、ショート動画アプリ「秒拍(Miaopai)」の創業メンバーで、シニア技術総監として参加、ゼロから秒拍や「小咖秀(xiaokaxiu)」などのアプリを開発した。
共同創業者の李政諺氏は、台湾の金融商品分析プラットフォーム「Money101.com.tw」商業データ分析部門の総監を務めていた。
同社は現在、エンジェルラウンドでの資金調達を進めている。(翻訳:永野倫子)
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