二次元ファッションのセレクトショップが8000万円調達 普段使いできるロリータ・JK風・ 漢服を実店舗で

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ロリータや女子高生(JK)風ファッションを展開する「十二光年(Shier Guangnian)」がエンジェルラウンドで「蜂巧資本(Borchid Capital)」から500万元(約8000万円)を調達した。創業者のCarrie氏によると、調達した資金は販路やサプライチェーンの拡張などに充てられるという。

普通、アニメや漫画、ゲームなどのキャラクターを「二次元」と呼ぶが、最近の中国ではそこから派生したコスプレや関連グッズなども全て二次元カルチャーに含められるようになった。2020年1月に創業した十二光年は、その二次元カルチャーのライトユーザーを対象にしたセレクトショップをオフライン展開している。扱う商品はロリータファッション、JK制服、漢服(中国漢民族の伝統衣装)、キャラクター関連と幅広い。コミュニティーを活用したブランド運営をメインに、玩具やファッションを中心とした二次元関連商品の販売プラットフォームを作り上げることが目標だ。

現時点で杭州市や上海市、深圳市などに7店舗を開設しているほか、上海とその周辺エリアで出店準備を進めており、今年中に10店舗にまで増やす計画だ。まずはカルチャーや消費への関心が高い一級、二級都市を中心に展開していく。

(画像:十二光年)

アニメやキャラクターに代表される二次元カルチャーが、大きく様変わりしようとしている。中国版ニコニコ動画とも呼ばれる大手動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」は、マイナーなサブカルサイトから国民的動画プラットフォームへと変貌を遂げた。2020年6月末時点で、ビリビリ動画のアクティブユーザーは1億7200万人に上る。中国のアートトイブランド「POP MART(泡泡瑪特)」は人気キャラクター「Molly」シリーズをきっかけに、アートトイを一般市場に広めた。漢服、JK制服、ロリータファッションは「破産するまで 買いたくなる女子ファッション」と呼ばれるようになり、複数の漢服ブランドが今年、資金調達に成功している。

まずオフライン出店を選んだ十二光年だが、実店舗はファンを集める新たな試みだとCarrie氏は考える。オンラインでは競争が激化し、アクセスを獲得するためのコストもかさむ。一方で二次元関連商品の実店舗は各地に点在するにとどまっており、オフラインは空白域と言える。十二光年はコアな二次元ユーザーではなく、ライトな女性ユーザーをターゲットにしており、二次元初心者のための最初のステップとなることを目指している。実店舗なら多くの消費者の視線も集められる。

十二光年で扱う商品は日常使いできるファッションアイテムが中心だ。同社はライトな二次元カルチャーという観点から商品セレクトを行い、二次元の要素と一般受けするテイストとのベストバランスを探っている。例えばロリータファッションのうち裾が大きく広がった正統派ロリータのスカートは全体の3~4割程度で、半分以上が普段使いしやすい軽めのデザインになっている。

(画像:十二光年)

二次元関連商品を扱うブランドでは、人気商品が品薄になりがちだ。オンラインで漢服1着を予約すると数カ月待ちも珍しくない。十二光年では商品の約6割を自社のサプライチェーンでまかなっているため、仕入れは比較的安定している。オンライン予約による販売とは異なり、実店舗では試着して気に入ればすぐに買えるためユーザー体験が大幅に向上させられる。余剰在庫は関係するブランドと提携してさばく必要もあるが、人気商品の安定供給は二次元カルチャーを一般化する上で欠かせないポイントになる。

十二光年は実店舗をチェーン展開することで消費を呼び込み、需要量を増やすことでサプライチェーンにおける発言権を高め、工場の生産技術やレベルを向上させたいと考えている。さらに、工場と小規模ブランドの橋渡しを行って効果的な提携を促し、双方が業務面で向上できるようサポートしていく方針だという。
(翻訳・畠中裕子)

 

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