東南アジアでキャッシュレスを推進 スマート自販機を展開する中国リテールテックにアントなどが追加出資

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東南アジアを中心にビジネスを展開するリテールテック企業「BLUE Mobile(以下、BLUE)」が、アリババ傘下のフィンテック企業「アント・グループ(螞蟻集団)」や「愉悦資本(Joy Capital)」など既存株主から追加出資を受けたことがわかった。

BLUEは2015年に設立され、オフラインの自動販売機とオンラインのバーチャルショーケースを組み合わせた「BLUEmart」、決済サービス「BLUEpay」の2つが主力事業だ。

東南アジアではスナックや飲料など自動販売機で買えるような商品のニーズが非常に高い。調査会社ニールセンの調べによると、タイとインドネシアでは清涼飲料水の1日平均摂取量が中国の約10倍にも上るという。しかも東南アジアの主要都市は人口密度が高いため、自動販売機の設置に適した条件がそろっている。

BLUEが設置を進める自動販売機は単に商品を販売するだけでなく、モバイル決済を普及させるという役割も担っている。東南アジアユーザーが現金決済からキャッシュレス決済へスムーズに移行できるよう、自動販売機から現金でチャージできるようにもなっており、モバイル決済利用のハードルを引き下げている。同自動販売機は自社決済サービスのBLUEpayのほか、地元の決済サービスにも対応している。

創業者でCEOの陳鋭氏によれば、BLUEでは東南アジア初のスマート自販機を開発し、オンラインとオフライン間で陳列棚情報を共有できるようにしたという。このスマート自販機は各地点の在庫を正確に把握することができ、運営スタッフはリアルタイムの在庫情報をもとに管理を行う。また自社建設、提携などのアセットヘビー方式によりPRスタッフや倉庫保管、配送チームを整え、自動販売機ごとに適切な管理体制を実現している。

オンラインとオフラインの強みを最大限に生かすため、BLUEでは商品を購入頻度に応じて高(食品や飲料)、中(日用品)、低(コスメ、電子機器)に分類し、高頻度かつ低価格の商品は自動販売機で販売し、中・低頻度で客単価の高い商品はオンラインのバーチャルショーケースで販売している。

BLUEの自動販売機は、インドネシアのジャカルタとタイのバンコクに1万台以上が設置され、登録ユーザーは1400万人に上る。陳CEOによれば、自動販売機事業のユニットエコノミクス(1台当たりの収益性)はすでにプラスになっているという。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていた時期、非接触サービスのニーズ増加により自動販売機の売上げは大きく伸びた。今後はインドネシアのバンドンやベトナム、フィリピン、マレーシアなどへの進出を考えている。

進出先の政府からも信頼を勝ち得ている。先日、インドネシアの駐中国大使と駐広州総領事が直々にBLUEの深圳研究開発センターを視察に訪れ、同社の事業や今後の提携について広く意見を交わした。
(翻訳・畠中裕子)


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