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ベロブスカイト量子ドット(ペロブスカイト構造を有するナノ結晶材料、以下「PbS量子ドット」と略称)技術を開発する「致晶科技(Zhijing Nanotech)」が、シリーズAで数千万元(約数億円)の資金調達を行ったことがわかった。出資者は「武岳峰資本(Summitview Capital)」と「中関村啓航(Zhongguancun Qihang Fund)」だ。
致晶科技は2016年7月創業で、主な製品はPbS量子ドット光学薄膜だ。同社の中心メンバーは北京理工大学材料学院のナノフォトニクスを専門とする研究室の出身であり、この研究室は世界で最も早くPbS量子ドットの実用例について論文を発表した研究室の一つである。また、2015年にはPbS量子ドットを合成するための技術も発明している。
致晶科技の初の商用化製品は「PbS量子ドット緑色薄膜」で、2018年に外部パートナーとともにプロトタイプを製造し、2019年に実用に向けたテストを開始、2020年に正式に発売した。現時点でPbS量子ドット光学薄膜の商用化に成功したのは同社のみである。
量子ドットは化学合成によって製造されるナノスケールの半導体であり、照明、ディスプレイ、バイオマーカー、イメージセンサー、太陽光発電、レーザーなどでの応用が期待されている。2013年にソニーが世界初の量子ドットを搭載した液晶テレビを発売し、現在スマートフォン大手のファーウェイ、シャオミ、OPPOなども同様の製品を発売している。量子ドットは今後液晶ディスプレイに必須の技術になるとされており、急速に100億元(約1500億円)規模の市場に成長するだろう。
量子ドットを合成するための材料はセレン化カドミウム、リン化インジウム、ベロブスカイトの3種類である。致晶科技はベロブスカイトで量子ドットを合成する技術を発明したため、低コストで高性能な量子ドット薄膜を製造することが可能だ。
PbS量子ドット光学薄膜の使用により、他の2種の原材料を使用する際の多くの課題を克服し、原材料の利用率を100%近くにまで高め、さらに製造プロセスの簡略化によってコストを下げることに成功した。また、製造過程でカドミウムを使用しないため、EUの環境基準である「RoHS」を満たすことができ、今後大規模な応用が期待できる。
また、PbS量子ドット光学薄膜を使用した液晶ディスプレイの色域は顕著に広がり、多彩なイメージの表示が可能となる。それを8K技術と組み合わせることで、より本物に近い映像を生みだせる。
致晶科技はPbS量子ドットの製造技術という強みを生かし、産学連携で実用化を行っている。上述のディスプレイのほか、すでに太陽光発電、マルチスペクトルイメージング、小型レーザー発生装置、イメージセンサーなどで実用化されている。当該技術に関連する中国国内特許を8件、国際特許を3件取得済みで、国内ではさらに50以上の特許を出願中だ。
PbS量子ドットの量産化は2020年6月に始まり、PbS量子ドットを搭載したテレビ「TCL 75M10」が発売済みだ。ほかにも家電大手の「創維(Skyworth)」「海信(Hisense)」やディスプレイ製造の「惠科(HKC)」「京東方(BOE)」などが致晶科技との提携に合意しており、2022年にはPbS量子ドット光学薄膜の大規模な出荷が始まる見込みだ。
(翻訳・小六)
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