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車載用LiDARを開発する「Innovusion」がまもなく6000万ドル(約63億円)の資金調達を完了することがわかった。今回の資金調達後の同社の評価額は3億ドル(約320億円)となる。出資者はテマセク・ホールディングス、「貝塔斯曼亜洲投資(Bertelsmann Asia Investments、ベルテルスマンアジア投資基金)」、「愉悦資本(JOY Capital)」などだ。
このことについてInnovusionに取材を申し込んだが、現時点ではコメントを得られていない。
自動車のスマート化が進んでいるため、LiDARのような主要センサーが注目されている。Innovusionは今年1月に、自動車部品メーカー「均勝電子(Joyson Electronics)」から戦略的投資を受けている。昨年末には同じくLiDAR開発の「Luminar」が米国上場し、現在の時価総額は95億ドル(約1兆円)で、ボルボ、ダイムラー、インテル傘下の「Mobileye」のサプライヤーとなっている。
現在公表されているInnovusionの製品供給先は、新興EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」しかない。NIO初のフラグシップセダンの「ET7」はInnovusionのLiDARを搭載し、2022年第1四半期から納車される予定だ。NIOの李斌CEOによると、このLiDARは120度の超広視野角、走査線数300本相当の高解像度を持ち、最大検出距離は500メートルだという。
関係者によると、NIOにとってもInnovusionは唯一のLiDARサプライヤーだ。そのため、両社とも来年第1四半期に納車できるよう同車種の製造に向けて必死で取り組んでいる最中だという。品質に問題がなければ、セダンのET7のほか、すでに発売された「ES8」、「ES6」、「EC6」などのSUVもInnovusionのLiDARを搭載する可能性がある。NIOの2020年の納車台数は4.3万台超だった。
Innovusionは2016年創業。創業者でCEOの鮑君威氏はバイドゥ(百度)の北米開発センターで自動運転ハードウェア開発責任者を担当したことがある。2018年に行われたInnovusionのシリーズAの資金調達ではNIO傘下の「蔚来資本(NIO Capital)」、フィデリティ・インベストメンツ傘下の「斯道資本(Eight Roads Ventures)」、「F-Prime Capital」が出資し、Innovusionは3000万ドル(約32億円)を調達した。
同社は一貫して高性能LiDARの開発を行っている。鮑氏はかつて、自動運転レベル3以上の場合、安全性と信頼性のためには人間の目と同等のセンサーが必要であり、そのためには少なくとも25度から30度までの視野角で走査線数300本相当以上の解像度を実現しなければならないと語っていた。
しかし、テスラのように、LiDARを採用しない企業も存在する。イーロン・マスク氏はLiDARに頼ると「必ず失敗する」と断言したことさえある。その理由は、LiDARの性能が不安定でコストが高いことにある。
その状況が変わる可能性が出てきた。自動車のスマート化によってニーズが急増し、LiDARの大量生産が実現される可能性が出てきたためだ。NIOのほか、同じく新興EVメーカーの「小鵬汽車(Xpeng)」のセダン「P5」はドローン最大手「大疆(DJI)」傘下の「Livox」のLiDARを搭載する予定で、「理想汽車(Li Auto)」の李想CEOもLiDARを採用する可能性に言及している。LiDARの開発企業も順調に成長しており、深圳の「速騰聚創(RoboSense)」は米国のEVメーカー「Lucid」に部品を提供する予定で、また、上海の「禾賽科技(HESAI)」は1月に科創板(スターマーケット)への上場を申請し受理された。
今後、LiDARの技術がより安定化し、価格が安くなるのは間違いない。テスラが考えを変える可能性も排除できないかもしれない。
(翻訳・小六)
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