今注目のPaaS型ローコード開発、有力スタートアップ「ClickPaaS」が約16億円調達

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PaaS型のローコード開発プラットフォームを提供する「ClickPaaS」が昨年末、シリーズBで約1億元(約16億円)を調達した。リード・インベスターは「ベルテルスマンアジア投資基金(BAI)」と「SIG Asia Investments」、コ・インベスターは「明勢資本(Future Capital)」と「五源資本(5Y Capital)」、財務アドバイザーは「銀橡資本(Silver Oak Capital)」が務めた。今回調達した資金は、金融やエンジニアリング、物流、行政事務など多業種に向けた事業展開、チャネルシステムの構築と整備、製品開発に充てられる。

ClickPaaSは2017年に設立された。創業者の胡柏CEOは以前、米オラクルでアプリケーションソフトウエアのプラットフォーム開発などに携わっていた。また、米セールスフォース・ドットコム認定アーキテクトとして、PaaSプラットフォームの応用についても実績を積んだ。胡CEOは企業の情報化プロジェクトを多数手がける中で、中国の大・中規模企業の多くが事業化と差別化のための費用負担を惜しまず、一部の企業はシステムの機能拡張やカスタマイズに年間1000万元(約1億6000万円)以上を費やしていることに着目した。

既存のERP(統合基幹業務システム)やパッケージソフトウエアには、業界や業務の変化への対応において多くの改善の余地がある。ClickPaaSは、企業の目まぐるしく変化する業務内容に素早く柔軟に対応できるようPaaSプラットフォームを提供することとした。

PaaS型のローコード開発プラットフォームは複雑な業務に対応するため、コンパイルやフレームワークなどに高い水準が求められる。また、顧客にとってはシステムの安全性と可制御性も重要な指標となる。このためClickPaaSは、製品およびシステムのブラッシュアップに多くの時間を費やしている。

「ClickPaaS」製品のインターフェース

設立当初の顧客はコアERPを導入済みの企業だった。企業の業務内容の変化は速く、オラクルやSAPの製品をベースにしたアプリケーションでは業務ニーズに対応できなくなり、よりフレキシブルなプラットフォームで補完するか、システム全体のリプレースを必要としていた。ClickPaaSは2020年、中国政府による国産化奨励の波に乗り、トップランクの中央国有企業に採用され、製品の技術と成熟度において信頼性を得た。現在の顧客はインフラ関連や金融、物流、行政事務など多岐にわたっており、企業の中心的業務に対応している。また、PaaSプラットフォームに人工知能(AI)レコメンドアルゴリズムを追加することで、業務のスマート化ニーズにも応えている。

行政事務のスマート化については、インターネットとビッグデータおよびAIを組み合わせ、企業の届け出をワンストップで実行できるサービスクラウドを基盤としたプラットフォームを構築し、7万4000社以上にサービスを提供している。

ClickPaaSの製品は50社余りに直接販売されるほか、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)などのチャネルや提携パートナーを通じて数千社に代理販売され、利用者は46カ国で15万人に上っている。企業ごとに利用者数に応じた年間使用料を課金しており、現在の客単価は数十万〜数百万元(数百万〜数千万円)と幅広い。2020年は事業規模が2倍に伸びたが、契約を結んだプロジェクトの75%が年間使用料契約で、半数がISVを通じた契約だった。

「ローコード開発」というキーワードが多くの業界から注目を集めるきっかけになったのは、ポルトガルのローコード開発プラットフォーム「Outsystems」が2018年にユニコーン企業の仲間入りを果たしたことだった。IT分野のコンサルティング企業、米ガートナーは昨年のリポートで、2023年までに大・中規模企業の過半数がローコードアプリケーションプラットフォーム(LCAP)を戦略的アプリケーションプラットフォームの一つとして採用すると予測している。

ClickPaaSの社員は現在130人で、その大部分が研究・開発スタッフだ。胡CEOは、2021年も製品とシステムのブラッシュアップを主な目標としながら、チャネルとエコシステムの構築や提携パートナー探しを進めると同時に、東南アジアを中心に国際市場にも進出していく方針を示した。

ClickPaaSは、より多くの企業がプラットフォームを利用して自社の業務に適したアプリケーションシステムを構築するのを後押しし、提携パートナー企業による新規事業開拓もサポートすることで、息の長い事業展開を目指すという。
(翻訳・田村広子)

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