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今年第3四半期にも発表が予想される米アップルの第3世代ワイヤレスイヤホン「AirPods 3」だが、すでにレンダリング画像が出回っているほか、中国版TikTok「抖音(Douyin)」にも関連動画が登場している。動画で紹介された“AirPods 3”も、先日公開されたレンダリング画像と外観はほぼ同じだ。しかし、これはご本家を先回りする形で作られたコピー品だという。出処は、中国の深圳にある電気屋街「華強北」だ。
AirPodsのコピー品はこれが初めてではない。「AirPods Pro」も3Dレンダリング画像が流出してわずか1週間も経たないうちに完璧に外観を再現したコピー品が出回っている。
常軌を逸する「華強北」イヤホンの売れ行き
AirPodsはアップル製品としてiPhoneの次に人気のプロダクトだ。年間出荷数は数千万規模で、利益率も高い。需要が大きいため、コピー品も本家と同じくバージョンアップを続けている。
“ニセAirPods”の初代製品は本物と比べてサイズが一回り大きいだけでなく、性能は大きく劣るものだった。しかし、徐々に実力のあるメーカーが参入するようになり、十数回にもわたるバージョンアップを経て、外観では真贋の見分けがつかず、機能でもより本物に近いコピー品が登場するようになった。最高価格をつけるものはクアルコム製のチップを搭載し、再現度95%との評価を得ている。アップル公式店「Apple Store」のサポート受付に持ち込んでも、リペアセンターに送られるまでコピー品と判明しないこともあるという。
実状を確かめるため、記者が500元(約8300円)以上の価格をつけるAir Podsのコピー品を購入してみた。しかし、使用感は本物に大きく劣るもので、「再現度95%」を誇る偽物が存在するとはにわかに信じがたい結果となった。
さらに、コピー品が横行することで正規版のAirPodsを愛用するユーザーも迷惑を被る事態となっている。真贋を鑑定するのに時間がかかり、本来は気軽に利用できるはずの新品交換サービスが使いづらくなったという。
しかし、中国発のニセAirPodsは海外にまで販路を広げ、世界で悪名を轟かせている。中国のスマートフォンメーカー「OnePlus(一加)」などは流れ弾の犠牲になった。同社製のイヤホンが米国の税関でAirPodsのコピー品と誤解され、回収された上にこのことがSNSで拡散してしまったのだ。
OneplusのイヤホンとAirPodsはそこまで酷似しているわけではないが、なぜ誤認されてしまったのか。
“華強北”産ニセAirPodsがどの程度の人気を博しているかといえば、大まかなデータではあるが、2020年10月末時点で“本家”AirPodsの出荷数が8000万であるのに比べ、“華強北”AirPodsは6億台となっている。そもそもAirPodsは第1世代から現在まで、シリーズ全体の総生産数でも6億にも達していないのにだ。
華強北ではAirPodsに限らず、アップルに関する製品ならどんなものでもコピー商品が手に入る。
コピー製品以外に、アップル製品の部品も華強北の主な収入源になっている。
YouTubeのある海外チャンネルで紹介された動画によると、動画投稿者はiMacの修理をアップルのサポートセンターに依頼したが見積もり額があまりに高く、さらに修理に1カ月以上かかると聞いて修理をあきらめ、越境ECサイトを通じて華強北からiMacの中古のマザーボードを購入し、自力で修理した。結果、金銭的にも時間的にも大幅な節約になったという。
世界に名の知れた深圳の電子製造業は、中国最大の電子製品取引市場でもあり、華強北からはテンセントをはじめとした有名テック企業が数多く誕生している。
華強北の代名詞だった「コピー品」は十数年を経て徐々に「イノベーション」に置き換わってきているのも事実だ。
作者:WeChat公式アカウント「雷科技(ID:leitech)」、TSknight
(翻訳・愛玉)
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