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新興EVメーカー「NIO(蔚来汽車)」が2021年5月6日、ノルウェー市場へ進出することを正式に発表した。NIOはノルウェーで直販体制とサービスネットワークを構築し、車を起点としたユーザーコミュニティの構築を目指す。今年9月にはノルウェー市場向けの第一弾モデル、7人乗りの電動SUV「ES8」を投入し、来年にはEVフラッグシップセダン「ET7」も発売予定だ。
NIOが最初の海外進出先としてノルウェー市場を選んだのは、同市場で新エネルギー自動車の人気が高いからだ。NIOの創業者、李斌氏は会見で「NIOの目標は一貫して全世界のユーザーに高品質な製品とサービスを提供するグローバルブランドを構築することだ」と述べている。
これに先立ち4月の上海モーターショーでNIOの共同創業者である秦力洪総裁は、最初の海外進出先として欧州を考えており、その中でも特にノルウェーに照準を定めていると表明している。少し前に、中国メディアからNIOが2021年下半期にはドイツに進出し、ほかの欧州市場開拓も順次進めていくという報道がでたこともある。
長期的な展望から見ると、NIOの海外進出はノルウェーだけにとどまらないはずだ。それを裏付けるようにNIOからも、ノルウェー進出後、2022年にはドイツを含む欧州5カ国に勢力図を広げるという計画が公式に発表された。
中国市場と同様のサービスを提供
現在、NIOのノルウェーチームは15人で、その中にはインドのタタ・グループ傘下のジャガーランドローバーで総経理を務めたMarius Hayler氏も含まれている。今年中には50人までチームを拡大する予定だ。
2021年9月にはノルウェーの首都オスロにショールームを兼ねたオーナー専用ラウンジ「NIO house」をオープンする予定もあり、2022年までにはさらに小型ショールーム「NIO Space」をノルウェー各地に4カ所オープンする計画となっている。
アフターサービスのネットワークはノルウェー全土をカバーし、中国市場と同じくスタッフが家まで赴きメンテナンスや充電を行うサービスや、車検などの際には自宅まで車を取りに行くというサービスを提供する。
李氏は会見で、欧州の充電スタンドマップを提示すると同時に、2021年中にオスロで第二世代バッテリー交換ステーションを4カ所運営することを発表した。2022年にはノルウェーの5都市にバッテリー交換ステーションを建設するほか、パートナーとともにノルウェー全土に充電スタンドを2万カ所設置する予定だ。
中国市場では、充電スタンドなどのインフラ建設が先行し、その後、直販やユーザーサービスといったビジネスモデルが市場に受け入れられるようになった。秦氏はメディアの取材に対して「中国でのサービスと同様にノルウェーでのサービスも、現地の法規と文化に合わせて調整を行っていく」と述べている。
中国のユーザーには馴染み深いNIOアプリの欧州版も今年の第3四半期にリリース予定で、さらにNIOのライフスタイルブランド「NIO Life」もノルウェーで展開される予定だ。
ノルウェー進出の勝算
上海に本社を置き、米国に上場しているNIOにとって、ノルウェーを欧州進出の拠点にすることはチャンスと挑戦の両方を意味する。
ノルウェーを選択するにあたっては十分な検討がされた。ノルウェーは昨年、政策による強力な後押しと充電設備の充実によって、世界で初めて新エネルギー車の販売台数が年間の新車販売台数の50%を超える国となった。ノルウェー政府は2025年までに世界で最初に化石燃料車の販売を禁止する国になることを目指している。
またノルウェーは新エネルギー車に対して、登記税、販売税、ナンバープレート費用の免除など多くの優遇政策を打ち出している。これらの政策がノルウェーにおける新エネルギー車の価格競争力を高める結果となっている。
欧州市場は全体的に政策が整い、新エネルギー車に対する市場の受容性も高いが、新興企業であるNIOにとって、欧州市場で成功するのは簡単ではない。
一方では世界的な自動車向けの半導体不足が続いており、短期間で解決される見込みは立っていない。「化石燃料から電気」への転換は自動車産業における半導体需要を加速させ、需給バランスを悪化させている。今年第1四半期には半導体不足によって、NIOは5日間の生産停止を余儀なくされた。第2四半期の納車台数についても、毎月7500台から、四半期全体で2万1000~2万2000台へと調整されている。
NIOの欧州市場への進出はほかの中国ブランドに比べて少なくとも半年は遅い。新興EVメーカー「小鵬汽車(Xpeng Motors)」は現地のEV販売店と協力し、2020年末に最初の納車を行った。老舗自動車メーカー「一汽(FAW Group)」傘下の高級車ブランド「紅旗」もノルウェーの現地ディーラーと契約し、同市場への進出を表明している。「上汽大通(SAIC Maxus)」「比亜迪(BYD)」などのEVメーカーも2020年に相次いでノルウェーへ進出している。
NIOが欧州で、航続距離、安全性、悪条件の道路状況での走行などの試験を経て、公式な認証を得たとしても、ブランド構築と販売チャネル開拓への道のりは長い。中国老舗自動車メーカー「長城汽車(GWM)」「吉利汽車(GEELY)」などが海外市場でうまくいかないのは、知名度の低さや製品の評判の悪さ、ディーラーネットワークの欠如などが原因にある。ブルームバーグによると、昨年の長城汽車と吉利汽車の海外市場における売上高は総売上高の10%にも達していない。
しかし海外進出についてNIOは、早急に結果を出そうとはしていない。秦氏は「ノルウェーチームに対しては販売目標を定めていない。欧州市場への進出は短期的には損失を招くかもしれないが、それを受け入れる準備はできている」と述べた。
(翻訳・普洱)
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