中国家電大手「美的」、東芝ブランド生かし海外シェア1割目指す(二)

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中国家電大手「美的」、東芝ブランド生かし海外シェア1割目指す(二)

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ここ数年、中国家電企業の海外事業拡大が続いている。

東芝の白物家電事業を買収したことで知られる中国家電大手「美的集団(Midea Group)」は、海外事業の売上高を2017年の1039億5600万元(約1兆7600億円)から19年の1167億8300万元(約1兆9800億円)に伸ばしている。海外事業の売上高が全体に占める割合は、それぞれ43.19%と41.98%だった。2020年上半期には海外事業の売上高が比率44.46%に伸び、海外受注量も前年同期比10%増となった。

美的の副総裁で、国際総裁を兼務する王建国氏に、同社の海外戦略について聞いた。

従来製品と違い設置後も窓の自由な開閉が可能な北米向け「窓用エアコン」(写真提供:美的)

前篇:新型コロナによるグローバル展開の加速

ーー海外市場シェアの目標と、OBM(独自ブランドの生産)で力を入れる市場についてはいかがでしょうか。

王氏「2025年までに、海外市場シェアを10%以上とし、家電製品の輸出額を400億ドル(約4兆3600億円)以上とすることを目指す。中国を除く重点市場では20%の市場シェアを確保する。東南アジアではどの国においてもシェア1位を目指す。北米でも3位までには食い込みたい。現在美的の海外市場シェアはわずか4%のため、社内でも海外市場での取り組みに大きなやりがいを感じるとの声が上がっている」

「OBM事業は6大市場における戦略とし、今後5年間で世界市場への突破口とする。6大市場とは、世界第2位の家電市場である米国と同3位の日本。そして2億人の人口を抱えるブラジル。美的は同国市場に参入してすでに30年余りたち、良好な基盤を築いている。その後に東欧、ドイツ、インドが続く」

ーー現地での研究開発やスマート工場の建設など、美的ブランドのローカライズをどのように進めますか。

王氏「グローバル製造に関して、我々は現地調達により力を入れる。そのため上述の6大市場でも、現地または周辺地域に研究開発や製造の拠点を設ける」

「地域ごとに打ち出すブランドの組み合わせは異なる。米国で実施するのはブランドの多様化戦略だ。美的ブランドを主体としながら、掃除機ならEureka、ヒーターならPelonisというように、各分野に特化した米国ブランドと協業していく」

「東南アジアでは、マルチブランド戦略を展開している。東芝と美的ブランドをメインに、伊Comfeeを加える形だ。欧州市場では3つのブランドを展開している。しかし、同市場でのブランド戦略には改善の余地があり、現地のメイン市場に切り込むのに有効な方法はまだ見つかっていない」

「海外工場では将来的にインフラの自動化を進める予定だ。現在進めているのは、エアポンプや滑車などを用いた簡易的でコストの低い自動化だ。高度な自動化については北米工場で実験している」

美的のタイTPT工場 (写真提供:美的)

「現在、美的の海外工場でスマート化が最も成功しているのはタイにあるエアコン工場だ。来年3月から4月にかけて操業を開始する予定で、作業効率は中国国内よりも高くなる見込みだが、投資額はそれほど大きくない」

ーー海外展開を拡大していく中で、どのようにリスクを回避しますか。

王氏「欧米では知的財産権のほか、製品や運営のコンプライアンス、プライバシー管理など、製品責任や製品コンプライアンスの基準を非常に厳格に規定している。当社もこれら規定の順守に多大な労力をかけている」

「我々は知的財産権の保護に非常に重きを置いており、厳密なコンプライアンス体系を構築している。これまでの特許申請は16万件を超え、過去1年で取得した発明特許は約3000件に上る。海外で得た発明特許も約500件ある。当社には特許専門の弁護士が約100人いる」

「美的は決してグレーゾーンで何かを行うことはしない。環境保護から製品コンプライアンス、知的財産権まで所在国の法律に徹底的に従う。美的は目先のビジネスを追うのではなく、100年続く企業を目指しているからだ」
(翻訳・山口幸子)

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