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中国IT大手アリババの女性社員が出張先で男性女性からの性暴力を受けたと訴え、会社側が黙認とも受け取られる対応を取った事件を巡り、国営メディアの人民日報は9日、アリババの企業文化を批判する記事を掲載した。
本人の告発によると女性社員は7月27日夜、出張先のホテルで酩酊して寝込んでいる最中に男性上司から同意のない性交をされ、警察に通報するとともに8月2日にアリババの管理職数人に訴えた。しかし管理職の反応は鈍く、男性上司は通常通り出社を続けた。女性社員はアリババ社員が見られるグループチャットで訴えたが、その投稿はすぐに削除された。もみ消されることを恐れた女性社員は社員食堂にビラをまき、その内容がSNSで拡散したことで大騒動になった。
記事は事件を知った張勇(ダニエル・チャン)会長兼CEOが8月8日に社内文書で「驚き、怒り、恥ずかしい」とコメントしたことに触れ、「(驚き、怒るよりも)内省し、行動し、企業文化を再セットすべきだ」「企業は成長するにつれ、内包するリスクも大きくなる」と指摘した。
アリババは中国企業の中ではかなり早い時期に企業理念や価値観を明文化したことで知られる。2001年には価値観を武侠小説から名前を借りて「独孤九剣」としてまとめ、2004年には「六脈神剣」に改めた。創業20年を迎え、創業者のジャック・マー氏が会長を退任した2019年にも新たな価値観を発表している。
人民日報の記事は、これらの歴史を念頭に置いてか、「企業文化は口先で終わるものではない」と皮肉り、人を軽視する企業は、事業に置いても価値を実現できないと批判した。
(文・浦上早苗)
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