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産業ロボット、ロボットのソフトウェアを開発する「芯控智能(Core Control Robotics)」がシリーズAで1000万ドル(約11億円)を調達した。「マトリックス・パートナーズ・チャイナ(経緯創投)」が出資を主導し、「線性資本(Linear Capital)」なども出資した。
芯控智能はスマート工場で自動的に生産ラインの動きをプログラミングするソフトウェア「Fatctory Steam(以下、「FSM」と表記)」を開発した。スマート設備を手がけるシステムインテグレーターの生産ラインの計画設計や改良に貢献しただけでなく、ロボットを「レゴブロック」のように自由に組み合わせて使えるため、生産ラインの効率が大幅に上がった。
FSMはアルゴリズム層、ディスプレイ層、制御層を分離させたリアルなシミュレーション環境を作り上げた。ソフトウェアの中では実際の制御フローと変わらない流れをシミュレーションでき、芯控智能が独自開発した運動制御機能を通してシミュレーションと現実の世界をシームレスにつなぐことに成功した。中国初の産業用、かつ非ロボット教育のソフトウェアとして、FSMは制御装置、ロボットを掛け合わせた独自性を持っている。
産業ロボットが直面する課題について、芯控智能は以下を挙げている。
■ 顧客とシステムインテグレーターの間ではプロジェクト総額を3割、3割、3割、1割に分けた支払い方式が取られており、生産ラインの自動化プロジェクトの周期が長くなってしまう点。
■ エンジニアと顧客間でのコミュニケーションが頻繁で、計画に繰り返し変更が生じ、完成まで時間がかかる点。
■ プロジェクトの難易度が高く、その効果がエンジニアの経験と能力に左右される点。
■ プロジェクト残金の回収が難しい点。試運転段階で稼働リズムを制御できるかがわからず、顧客の不満につながってしまう。
■ インテグレーターの利益がスタッフの数と質で左右される点
芯控智能の陳立CEOによると、スマート製造業の市場規模が数千億元(数兆円)あるのに対し、中国の産業ロボットの生産高は昨年150億元(約2700億円)程度だったという。陳氏は「生産ライン全体における産業ロボットの比率をどう拡大していくかが課題だと思う。問題はハードウェアではなく、現場で選択できるスマートツールが少なすぎること。我々はこのツールを拡大したい」と語った。
FSMの設計から使用までの主要工程は、生産ラインのローコード入力、モジュール化ロボットの設置とティーチング、ロボットからのデータ返送だ。
まず、ローコード入力については、FSMは産業ロボットの言語「ROCOコマンド」を1クリックでデジタル化するシステムがあり、データが集中制御システムに集まるようになっている。
次に、モジュール化ロボットの設置とティーチングだ。FSMを完成図として、モジュール化ロボットが素早く生産ラインを組み立てる。データの誤差と製造、生産、組み立ての誤差はシステムで修正が必要だが、さまざまなキャリブレーション(調整)方式を実現。FSMは安価なゲームコントローラを使ったティーチングのほか、レーザーによる追跡や多目的ティーチングにも対応している。
最後に、集中制御システムが集めた生産ラインシステムのデータをFSMに繰り返し返送し、さらなる向上を図る。
FSMの導入例として代表的な例がポンプ製造業だ。浙江省では500億元(約9000億円)のポンプ生産高を誇っている。その20%を占める100億元(約1800億円)近くはスマート製造によるものだが、スマート設備が大きくスペースを占領することや、ロボットが高額などの理由で、他社へ波及しない状況だった。
芯控智能はFSMを用いて、小さなスペースでも複数台が高速に動け、コストパフォーマンスも高いロボットを開発してきた。そこで今年前半、浙江省のポンプ業者は芯控智能に対し2000万元(約3億6000万円)近い発注を行うに至った。この発注以降、芯控智能のソリューションは自動車、電機、バイオケミカル業界などさまざまな分野に広がっている。
陳CEOは「当社は1000社のインテグレーターへのサービス提供、1万カ所のダークファクトリー(生産ラインの自動化・無人運営により照明不要となった工場)のコントロールを行うことを目指している。中国はスマート製造業最大の市場で、今後大きく成長する可能性が十分にある」と語った。
(翻訳・Qiunai)
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