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ビタミンサプリを手がける「LemonBox」がこのほどシリーズAで1000万ドル(約11億円)近くを調達した。出資には熊猫資本(Panda Capital)、スクラムベンチャーズなどが参加した。今回得た資金で製品開発、サプライチェーンの拡大などを行う計画だ。
LemonBoxはこれまでにも3回の資金調達を行ってきた。2018年のシードラウンドでは米ベンチャーキャピタルのYコンビネーターなどから数百万元(数千万円)を、同年のエンジェルラウンドではシリコンバレーの投資機関から、2020年12月のプレシリーズAでは熊猫資本などからそれぞれ1000万元(約1億8000万円)クラスの資金を得ている。
同社は、「栄養科学のデジタルトランスフォーメーション(DX)」をコンセプトに事業を展開。ユーザーはスマホアプリの健康アンケートに答えるだけで、「AI栄養士」から専門的なアドバイスが得られ、自分専用にカスタマイズされたサプリメントセットを毎月受け取ることができる。今年6月までの半年間で同社のミニプログラムでのGMV(流通総額)はすでに昨年の1年分を超えたという。ユーザーは大都市圏に住む25~35歳の若い世代が中心だ。
DXにより的確な栄養サポートを展開する同社は今、ユーザーの多様なニーズに応えるため製品形態の拡大を進めている。流通チャネルもWeChatのミニプログラム、中国版TikTokの抖音(Douyin)、天猫(Tmall)、京東(JD.com)などのプラットフォームへ拡大させた。
創業者の翁斌斌氏は「中国のサプリメント・機能性食品市場規模は拡大し、種類も増え、今も急速に成長している。現在の市場規模は2000億元(約3兆6000億円)ほどだが、今後は毎年15%のペースで成長するだろう。中国はサプリメントの普及率が欧米に比べてまだ低く、市場が伸びる可能性は大きい」と語る。
翁氏によると、LemonBoxはヘルスケアのビッグデータを扱うテック企業であり、「カスタムメイドのビタミンサプリ」をブランドの中核に据えたヘルスケアソリューションを提供しているという。この事業を支えているものの一つがビッグデータやアルゴリズムを駆使して作り出したAI栄養士だ。ユーザー個々のニーズにマッチしたアドバイス、高い専門性、良質な製品が高評価を得てきた。もう一つは長期的な計画で、今後同社はDXを通じてユーザーのニーズをより的確に把握し、製品ラインナップを拡充し、より精度の高い栄養サポートを提供するとしている。
サプリメント市場はリピート率が低く、敷居が高いという課題があった。しかし消費者が価格よりも製品背景、サービス、購入体験、成分配合などに注目するようになり、従来のサプリメント企業が採っていた大規模なプロモーション方式では、Z世代の若い消費者にリーチできなくなっている。
LemonBoxはDTC(Direct to Consumer)方式を採用し、ユーザーの購入行動をワンストップ型のクローズドループで完結できるようにした。そのためのツールにWeChatのミニプログラムを採用。さらにパブリックトラフィックとミニプログラムのプライベートトラフィックを連動させたエコシステムを作り上げることが中国におけるDTCの成功のカギだと語る。
同社のミニプログラムには改良が加えられ、以下のアクションが可能となっている。
■ ユーザーが記入したアンケートデータを蓄積し、バックグラウンドでユーザーのグループ、ベネフィット、内容などを基にプロモーション戦略を作成。
■ ユーザーのLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)向上の観点から、動画プラットフォーム、WeChat Work(企業微信)、ミニプログラムなどのエコシステムを使ってユーザーに繰り返しリーチする。
■ ユーザーの行動データを蓄積し、グループごとのカテゴライズとあらゆるプロモーションを通じて新規顧客を獲得し、クローズドループを作り上げる。
翁氏によると、今後も既存のDTCモデルでのデータ駆動型マーケティングを続けて行く方針だという。プライベートトラフィックで得たユーザー像に基づき、パブリックトラフィックを拡大しインフィード広告などに力を入れることで、コンバージョン率を引き上げ、全チャネルでの事業展開を目指すとしている。
(翻訳・Qiunai)
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