恒大集団傘下の新エネルギー車会社が70億円調達 量産にむけて

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恒大集団傘下の新エネルギー車(NEV)メーカー「恒大汽車(Evergrande Auto)」が今月10日公告を発表し、新株発行と第三者割当を合わせて行う「先旧後新」方式で増資すると明らかにした。1株2.86香港ドル(約42円)で1億7500万株を割り当て、約5億香港ドル(約70億円)を調達する。割り当てる株式の価格は市場の株価より19.89%低い3.57香港ドル(約52円)。調達した資金はNEVの開発と製造に充てるという。

この影響で、恒大汽車の株式は10日の前場に7%近く上昇した。終値は3.6香港ドル(約53円)、時価総額は351億6800万元(約6300億円)となった。

不動産大手「恒大集団(Evergrande Group)」をバックに持つ恒大汽車は積極投資で先行企業を追い越そうとしていたが、恒大集団のキャッシュフロー逼迫に伴い、恒大汽車も資金繰りの解決に注力せざるを得なくなった。今回は今年に入ってから3回目の資金調達となる。

恒大汽車の投資額は2020年時点で累計474億元(約8400億円)に達していた。うち249億元(約4400億円)はコア技術の購入と開発に充てられた。同社は18年から赤字状態を続けており、赤字額は18年が14億2900万元(約250億円)、19年が44億2600万元(約790億円)、20年が73億9400万元(約1320億円)だった。

恒大汽車が発表した今年の半期報告書によると、親会社株主に帰属する当期純損失は47億8600万元(約850億円)、全体の赤字は前年同期比96.25%増の38億2200万元(約680億円)だった。現金および現金同等物は95億7700万元(約1700億円)、特定目的にしか使用できない現金は29億3600万元(約520億円)だった。

同社は今年に入ってから9車種を携えて上海モーターショーに参加したものの、香港株式市場における株価下落を止められず、今年最高の72.45香港ドル(約1065円)から約95%暴落した。

恒大汽車は、次々と新車種を発表するも量産に至らないというレッテルを貼られてしまっている。ただ、恒大集団トップの許家印氏は先月22日、不動産開発の規模を大幅に縮小し、恒大汽車に全力を傾けると発表している。昨年は7000億元(約12兆4600億円)以上だった不動産の販売額を10年以内に2000億元(約3兆5600億円)程度まで減少させ、10年以内に不動産からNEVへと事業構造を転換する計画だという。

工業情報化部は今月9日、「道路機動車両生産企業および製品に関する公告」を発表した。新たに登録された製品には、恒大汽車の電気自動車(EV)も含まれていた。同社によると、この車種はホイールベースが2.78メートル、全長4.725メートル、全幅1.925メートル、全高1.688メートルで、最高時速180キロ、最高出力150kW、定格出力は60kW。車載電池には、中国車載電池最大手「寧徳時代(CATL)」のリン酸鉄リチウム電池を採用した。

今回登録された製品は、「恒馳」ブランドの電動コンパクトSUV「恒馳5」だとみられる。ファミリー向けのニューモデルで価格は20万元(約360万円)以下、アウディの「Q3」やBMWの「X1」などをベンチマークとしている。

恒大汽車の劉永灼総裁は以前、年内にも恒馳ブランド車のテスト生産を開始し、来年初めには天津工場で1号車がラインオフする予定だと明らかにしていた。恒馳ブランドの最新車種は遠くない将来、量産に入る可能性がある。

今回調達する5億香港ドルは、恒馳ブランド車の生産開始にかかる資金不足を解決する助けになるだろうが、量産に向けてどれほどの効果あるのかはまだ未知数だ。

(翻訳・二胡)

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