36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
歩く姿で個人を識別する歩容認証技術を手掛ける「銀河水滴科技(WATRIX.AI)」がこのほど、シリーズBで約3億元(約54億円)調達した。「海通証券(Haitong Securities)」と「玖兆投資(Essence Capital)」が出資を主導し、「中科融合創新加速器」がアドバイザーを務めた。
AIなどの新技術は顔や指紋、虹彩などによる個人認証に利用されてきた。近年は体形や歩く姿で個人を識別する歩容認証の研究が進んでいる。2016年設立の銀河水滴は歩容認証に特化したAI開発企業で、中国で初めて歩容認証技術を商用化したことで知られている。
顔や指紋による個人認証は設備が急速に整い、画像や指紋の採取が広く行われてサンプルが大量にある。一方、歩容認証は映像での識別しかできない上、天気や服装、姿勢などの影響を受けやすい。そのため、初期は精度が低く、長らく商業化に至らなかった。
銀河水滴はここ2年でアルゴリズムと技術を急速に向上させ、高い精度を誇る。現在、そのコア製品で全てのシーンを対象にあらゆる要素を解析し、多様なサービスを提供することを目標にしている。
創業者の黄永禎CEOによると、同社製品はセキュリティ分野において、ターゲットを捉えた膨大な画像から大部分の有効ではない画像を排除し、効率的に識別できるという。
銀河水滴は、映像を用いた個人認証で高い技術競争力を確立しており、中国初の歩容認証に関する国家基準の制定にも参画している。現在すでに、公共安全や診断補助、交通分析、教育、スポーツなどの分野に多くの優良顧客を抱えている。黄CEOは、今年は売上高が大きく伸びると予測している。
公共安全は同社が重点を置く分野の一つだ。ある大都市では、同社のシステムを導入後1カ月で事件20件以上の検挙につながった。被害届けを受理したすりや強盗事件は66%減少し、通報件数も25.9%減少した。医療分野では、整形外科や神経外科、リハビリ科などに導入されており、患者の歩幅や歩行速度、関節可動域などの分析を通じて医師の診断を補助している。
中国政府はこれまで1兆元(約18兆円)を投じて監視カメラの設置やネットワーク化を進め、テロや児童誘拐などの事件捜査、徘徊で行方不明になった老人の捜索、感染症調査などに活用してきた。
しかし従来のインフラでは、関連する映像が多すぎて肉眼では処理しきれなかった。また屋外の場合は、対象の角度や距離、服装、光など非常に複雑な要素があり、AIのアルゴリズムにとって大きな課題になっていた。
黄CEOは、銀河水滴の歩容認証技術で社会の統治やサービスの効率向上およびスマート化を後押しできると説明。大量の映像をいかに分析して関連づけるか、さらにいかに顧客の新たな需要を掘り起こすかが、次の重要な課題だとの考えを示した。
銀河水滴の本社は北京にあり、社員は200人以上。8割以上が中国科学院大学、清華大学、北京大学などを卒業している。また、黄CEOのほか技術者の約半数が中国科学院大学で博士の学位を取得している。
(翻訳・二胡)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録