顔写真が20円で取引される中国。犯罪者が顔認証データ偽造、詐欺に悪用

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スマートフォンで顔をスキャンしてロック解除、情報認証、注文の支払いをするなど、顔認証は生活上必要不可欠な「儀式」になっている。清華大学新聞学院の沈陽教授は以前、中国人は各種カメラに毎日平均500回以上顔を晒していると指摘した。

しかし、自分の顔が他人にとって不正にお金を稼ぐ重要な手段になっていると想像したことがあるだろうか。

中国ではすべての携帯電話のSIMカードに実名登録が義務付けられるなか、一部の犯罪者は大量のSIMカードを調達するため、他人の顔の映像をAIで偽造して携帯電話を利用登録しているという。中国中央テレビ(CCTV)が伝えた。

これらの犯罪者は一枚の上半身のスチール写真から、AIを使って写真の人物にまばたき、口を開ける、眉をひそめるなどの細かな表情をつけて人の表情の変化を模倣し、簡単に顔認証をすり抜ける。

犯罪者が偽造した顔の映像を、別の犯罪集団が購入して簡単にSIMカードを手に入れ、オレオレ詐欺、オンラインカジノ、マネーロンダリングなどに利用する。さらに、一枚の身分証明書や顔写真の入手コストは数角~1元(数円~約18円)で、特殊な処理を行った映像でも2~10元(約36~180円)だという。

個人情報が漏洩してインターネットで数円で取引され、さらに顔写真を基に偽造されたデータが認証に使われているが、多くの被害者はこれらの問題を全く知らない。

現在顔認証には主に2Dと3Dがある。

3Dの顔認証は通常多くのカメラとセンサーによりさまざまな角度の画像を集め、合成して顔の曲面の形をつくり、さらに収集した顔情報を点で3D空間に表示する。そのうえ一部の3D顔認証設備は顔が写真や映像、あるいはソフトウェアで生成されていないか判断できるため、すり抜けるのは難しい。

2Dの顔認証では被写体の光の反射あるいは被写体が出す可視光をセンサーが捉え、2次元画像を生成する。しかし、2D顔認証センサーの欠点は明らかで、情報を収集する過程で深度情報を得られないため物体の特徴に関する情報が洩れやすく、画像の偽造が極めて容易だ。ところが、2Dの顔認証にかかるコストは低いことから、市場の大多数の顔認証設備やソフトウェアは2D顔認証を使用している。

顔認証は従来の指紋や暗証番号に比べ距離があっても識別できるほか、使いやすいなど多くの長所がある。しかし、多くの違法なソフトウェアや設備がこの「長所」を利用して密かにユーザーのデータを収集し、犯罪に利用されてしまうことが欠点だ。

中国に限らず、世界各国で顔認証による監視に懸念が広がっている。米サンフランシスコ市は今年5月、市政府のすべての部門でこの新技術の使用を禁止した。

顔認証はAI技術の進歩の中で生まれた産物の一つにすぎない。また、こうした科学技術が日常生活に活用されるのは必然だ。だからこそ技術のもたらす便利さを享受するときには、技術が浸透した後に社会と生活にどんなリスクと影響がもたらされるかを常に警戒しておくべきだろう。

作者:WeChat公式アカウント「雷科技(ID:leitech)」

(翻訳・二胡)

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