中国のエンタメ界に挑む、日本人起業家のキャスティング・システム

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映画やドラマのキャスティングは大変な仕事だ。作品によっては数十人から数百人をキャスティングするので、一般的には、主役以外の配役はキャスティング会社が代行する場合が多い。

こうした問題を解決するのが「撞星(PRODUCE STAR)」だ。オンラインでオーディションを行い、一般ユーザーの投票で出演者を決める。制作陣が最適な配役だと判断しても、観客や視聴者の評価と乖離するケースも多いからだ。

具体的には、作品ごとにミニプログラムを立ちあげ、オーディション参加者は動画を含むポートフォリオをその中に掲載する。その後の実技審査を勝ち抜くと、制作陣による最終オーディションへ進む。

「撞星」創業者の塚本雄三氏は立ち上げの経緯について、「中国のエンターテインメントは従来、送り手から受け手への一方通行だった。しかし、今年は視聴者参加型の番組が人気を獲得し、エンターテインメントの世界でも『C2B』が成り立つことがわかった。例えば、サバイバルオーディション番組『偶像練習生(IDOL PRODUCER)』『創造101(PRODUCE 101 CHINA)』などでは、視聴者が未来のスターを育てる点がウケている。そこで今年3月、上海で『撞星』を立ち上げた」と語る。

オーディションの場としてWeChat(微信)のミニプログラムを選んだのは、そのユーザー層の厚さにある。一般ユーザーに審査させるのは、観客や視聴者が好むであろう出演者を選べ、選出された出演者に対してユーザー自身も愛着が湧くからだ。また、無名のタレントに機会を与えることができる。

撞星がキャスティングを手がけたドラマのオーディション画面

ユーザーが投票に参加するためには、参加費を支払わなければならない。この参加費が撞星の主な収益源となっているが、わざわざお金を出してまで投票するのは、オーディション参加者の関係者に限られるのではないか? この点に関して塚本氏は「事業の目的はあくまで新人タレントを新番組に起用してもらうこと。一般ユーザーの参加形態については今後さまざまな仕掛けを考えていきたい」としている。

塚本氏は東京都出身。米国留学を経てSNSアプリの開発などに携わってきた。ヤフー株式会社傘下のVC「YJキャピタル」から資金を調達した経験も有する。主に日中のエンターテインメント業界をつなぐ事業に従事している。撞星はエンジェルラウンドで「徳迅資本(Decent Capital)」から数百万元(数千万円)規模の資金を調達しており、12月から次の調達ラウンドに入る。
(翻訳・愛玉)

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