「TikTok」の次はインスタントメッセンジャー「flipchat」、バイトダンスが秘密プロジェクトを進行中?!

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中国IT企業の巨頭テンセントは、この20年あまりで数十億人のユーザーを獲得し、多くの後発ライバルを制しながら強大な帝国を築き上げてきた。特にSNSでは抜きん出ており、QQやWeChat(微信)の牙城を突き崩したライバルはいまだ存在していない。

しかし、この難攻不落の要塞に挑むユニコーン企業が現われた。ショート動画共有アプリ「TikTok(抖音)」を運営する「バイトダンス(字節跳動)」だ。評価額にして750億ドル(約8兆5000億円)をつけた同社だが、近々、新製品となるIMアプリ「飛聊(flipchat)」を発表するのではないかとみられている。

SNS路線への転換を目指す

バイトダンスのSNS戦略は、微博(ウェイボ)をベンチマークとして2017年にローンチした「微頭条」に始まる。その後、当初はリップシンク動画サービスとして売り出した「TikTok」を、後にソーシャル動画サービスと再定義してSNS化の端緒を開いた。ただし、これらはSNS戦略としては大きな成果を生むものではなかった。

これに対して、このほど発表された飛聊は、同社が秘密裏に温めてきたアプリで、開発メンバーにはテンセントのWeChat部門出身者が複数含まれているという。すでに「flipchat.cn」をはじめとする関連ドメイン計4本を買収済みだ。バイトダンスは36Krの取材に対して明確な回答を避けたが、複数の従業員が「社内では多くの新製品開発プロジェクトが極秘で進んでいる。社外に情報を漏えいした場合は解雇もあり得るほど、厳しいかん口令が敷かれている」と証言した。

企業の登記情報データベース「啓信宝」より

注目したい点は、バイトダンスは飛聊を海外向けと位置付けるのか、国内で展開するのかということだ。例えば、日本でも人気のTikTokは、中国国内向けの「抖音(Douyin)」が前身だが、2017年9月に「Musical.ly」を10億ドル(約1100億円)で買収してから、TikTokとして海外市場に大々的に進出した。

「自社開発製品で勝負するよりも、社外の優れた製品を買収した方が早い」。バイトダンスのある社員は、36Krにこう話した。市場にはすでにSNS関連製品が溢れているが、今後はより競合製品が増えていくと見ている。実際、バイトダンスから独立して起業するメンバーも複数いるという。

SNSビジネスに定石なし

数億から数十億のユーザーに接続できるSNSは、多くのIT企業にとって宝の山だ。成功例の一つとしては、マイクロソフトがビジネス向けSNSのLinkedInを262億ドル(約3兆円)で買収した例が挙げられる。マイクロソフトCEOサティア・ナデラ氏は、「マイクロソフトの10億人のユーザーとLinkedInの5億人のユーザーを共有したことは、より大きな価値を生んだ」と自伝で述べている。世界の隅々にまでインターネットが普及し、SNSはさらに重要になった。

中国のIT御三家、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)に次いで台頭してきたバイトダンスだが、飛聊のローンチによってSNS戦争に一石を投じることはできるだろうか? 業界内にはさまざまな意見が飛び交っている。

インターネット上に飛び交う意見

最近ソーシャル界隈で話題となる製品は、高度な技術を導入したものが多い。ソウルメイトを見つけられると銘打ったSNS「Soul」や「Ta在」、アバター作成アプリ「ZEPETO(ゼペット)」、半径18m以内の出会いを探すSNS「相看」などだ。グーグルの前CEOエリック・シュミット氏は「Google SearchやAdWordsが成功した理由は、技術面で洞察力があったからだ」としている。また、テンセントの関係者は「技術を追究するだけなら簡単だが、SNSが成功するためには、技術力以外に、インターネットモラルなど複数の要素が求められる」と話し、バイトダンスの関係者は「ユーザーの交友関係に基づいて適切な友人をレコメンドするのは、興味や趣味に基づいてレコメンドするより難易度が高い」と漏らしていた。

いずれにせよ、SNSを成功に導く絶対的なセオリーは存在しないということだ。

どんなプロダクトもインターネット化の基盤さえ完成すれば、あとは倍々ゲームのように成功への道をたどり、競合がこれを突き崩すのは難しくなる。SNSは派生的にさまざまな機能を追加できるため、なおさらその傾向が強い。Facebookが190億ドル(約2兆1000億円)でWhatsAppを、10億ドル(約1100億円)でInstagramを買収し、機能を拡充したのが好例だ。

コミュニケーションに対する欲求は人間の自然な心理だ。2017年時点で世界の人口は75億5000万人に達したが、そのおよそ半分がすでにFacebook関連製品のユーザーとなっている。2050年までにはさらに22億人増加すると言われており、需要はまだ大きいと言える。
(翻訳・愛玉)

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