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アートトイブランド「山海潮玩(ShanHai Art Toy)」がエンジェルラウンドで約500万元(約8900万円)を調達した。調達した資金は人員の拡充、ブラインドボックスのデザインおよび生産、ゲームハードウェアの開発および市場開拓に充てられる。
山海潮玩は2021年に設立され、アートトイのIP(Intellectual Property:知的財産)企画からデザイン、モデリング、製造、販売までを手掛け、数量を限定したコレクターズモデルの販売に特化している。他社のアートトイ製品との違いは、中国の伝統的な要素を取り入れた「国潮風」デザイン、ブロックチェーン技術による偽造防止機能、さらにAR(拡張現実)やメタバース、テーブルゲームなどとの組み合わせによる多様な遊び方ができることだ。
同社のアートトイは、中国古代の地理書「山海経」に登場する神獣をモデルとした「山海萌物」シリーズのブラインドボックスとフィギュアを主力とし、88~599元(約1600~1万1000円)で販売されている。
IP企画については山海経の登場人物や神獣を擬人化し、16〜35歳のユーザーに好まれるような製品デザインを行っている。2021年に独自のIP製品を12個、2022年に250個、2023年には500個発売する予定だ。
IPデザインについては重慶に支社を設立しており、四川美術学院を中心に全国の大学にアートトイのコミュニティを作り、アートトイに興味のある若いデザイナーを発掘している。オンラインメディアを通じてプロモーションを行い、KOL(キーオピニオンリーダー)に商品の宣伝をしてもらい、オフラインではキャンパスでの代理販売を利用し、マーケティングルートを開拓している。
山海潮玩は「限定モデル」の販売を主な戦略としている。第1弾として販売したのは5種類の神獣で、今年2月には468元(約8300円)の限定モデル計150体が発売後2時間で売り切れた。将来的には公式アプリ上の限定販売イベントに参加したユーザーが、1つのアカウントから1日1つの製品しか購入できないように制限する方針だという。
創業者の範翔氏は20年近くアートトイに親しんできたが、アートトイの偽物が氾濫していることが問題だと感じていた。このため山海潮玩は、製品のトレースバックが可能な限定モデルを販売することとした。山海潮玩のCSOで投資家の夏寧峰氏は、限定モデルのアートトイは投資性とコレクション性を兼ね備えていると説明している。
山海潮玩のアートトイはNFC(近距離無線通信)チップを内蔵することで偽造防止機能を実現している。NFC機能を搭載したスマートフォンで、山海潮玩のアプリやミニプログラムを開き、製品にかざすと本物かどうかを確認できる。またブロックチェーン技術を採用しており、ユーザーはサードパーティのパブリックチェーンサイトへアクセスし、製品の偽造防止に関する情報を確認できる。
メタバースとの連携については、同社はメタバースプラットフォーム「Decentraland」に1.5平方キロメートルの土地を所有し、「山海潮玩公園」としている。将来的には山海潮玩のアートトイを購入したユーザーがアプリで認証を行った後、Decentraland上でアートトイと連動させて遊ぶことができるようになる。
AR技術との組み合わせでは、バーチャルアートトイとい方法で、多くのアートトイを一度に持って出かけられないというユーザーの悩みを解決した。範氏は「旅行や出張などに持っていけるアートトイは1つか2つで、全てのアートトイを持ち歩くことはできない。アートトイをスマホの保存スペースにバーチャルな形で収納しておけば、出先でもアートトイと一緒に写真を撮ることができる」と語る。
注目すべきは範氏が常にアートトイを活用した遊び方を考えていることだ。
ユーザーは88元(約1600円)のブラインドボックス購入すると、アプリ上で「一緒に遊ぶ」を選択し、一定の時間アートトイとゲームを連携して遊ぶことができる。また、アプリ内で599元(約1万1000円)のハイエンド版にアップグレードし、配達してもらうことも可能だ。山海潮玩はゲームとの連携でユーザーの定着率を上げている。
もう1つの遊び方はカードを利用したテーブルゲームだ。20~30個のブラインドボックスを購入したユーザーに対して、山海潮玩は対戦ゲームができるハードウェアを送付する。このハードウェアはアートトイ内部のNFCチップを識別できる上、センサーと赤外線による位置情報技術を利用しているため、インタラクティブに遊ぶことができる。
このハードウェアは今後、山海潮玩のオリジナル製品として、ブロックチェーンやを画面タッチに対する反応、NFCによる識別、位置情報などの技術をアップグレードし、よりインタラクティブな遊び方を提供していく。
(翻訳・普洱)
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