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中国電動スクーター大手「小牛電動(Niu Technologies)」創業者・李一男氏が3年かけて準備した新エネルギー車事業の全貌が明らかになった。同氏が創業した新興自動車メーカー「牛創新能源(NIUTRON)」は12月15日、新エネルギー車ブランド「自遊家(NIUTRON)」を発表した。最初のモデルは5人乗りSUVで、純電気自動車とレンジエクステンダー式電気自動車の2タイプを展開、今年9月の納車を予定しているという。同時にシリーズAでIDGキャピタルとCoatue Managementから5億ドル(約570億円)を調達したことも公表した。
李氏は伝奇小説さながらの人生を歩んでいる。1970年に生まれて、15歳で華中理工大学(現在の華中科技大学)の少年クラスに入学して物理を学び、「天才少年」と呼ばれてきた。27歳でファーウェイ副総裁に就任。当時、ファーウェイ創業者の任正非氏とは親子のような間柄で、任氏の後継者とみなす報道もあった。
李氏は2000年にファーウェイを離れて起業。6年後にファーウェイがその会社を17億元(約300億円)で買収し、李氏も古巣へ戻るが、その後再びファーウェイを辞し、百度(バイドゥ)の最年少CTO、中国移動(チャイナモバイル)傘下のIT企業CEO、金沙江創投(GSR Ventures)パートナーなどを歴任した。
2015年4月、李氏は小牛電動を立ち上げる。しかし最初の電動スクーターをリリースした2日後、李氏はインサイダー取引に関わった疑いで身柄を拘束され、懲役2年半の実刑判決を受ける。
2017年12月に刑期を終えて出所した李氏は、依然として小牛電動の筆頭株主だったものの、すでに会社の経営からは遠ざかっていた。
その後は自動車産業の調査研究に取りかかり、2018年末に再度起業に踏み切る。それが牛創新能源だ。
クルマづくりは李氏のビジネス人生後半戦における渾身の取り組みと言えよう。しかも長期戦の構えを見せている。李氏は「常に進化する優れた商品こそが、最大の競争力となる」と語っており、先発組と後発組にそれぞれのメリットがあるとしつつも「結局のところ肝心なのは優れた商品そのものだ」と述べている。
牛創新能源は2018年に設立され、本社は北京、研究開発センターは上海にある。施設に関しては、自社工場を建設するのではなく江蘇省常州市にある「大乗汽車(Dorcen Automobile)」の工場を買い取る方式を採択。敷地面積77万平方メートルの近代的なスマート製造拠点で、生産能力は年間18万台、今年3月に操業を開始するという。
NIO(蔚来)や理想汽車(Li Auto)など新興EVメーカーは、年内にLiDARや高性能チップなどを搭載した独自の運転支援技術のリリースを予定しているが、牛創新能源は車両開発が精いっぱいで、高度運転支援システム(ADAS)はサプライヤー頼みだ。
とはいえ業界参入において正攻法と言えるのは、まず第1号モデルを予定通りに納車し、製造プロセスと体制を全面的に整えたうえで、さらなる資金投入を行うことだ。
「2022年9月の納車と言ったからには、必ず予定通りに納車する」と李氏は語る。
市場には大きなシェアを持つNIOや理想汽車、小鵬汽車(Xpeng)など先発メーカーに加え、李氏同様に51歳でクルマづくりに参入したシャオミの雷軍CEOのような後発組もおり、ライバルひしめくなかで牛創新能源が頭角を現していけるのかは未知数だ。だが間もなく李氏はその答えを提出することになる。彼にとっては恐らくこれが、波瀾万丈な人生における最後の大勝負になるだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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