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小型調理家電はヒット商品が出続けている。新商品、新ジャンルが次々と生まれるが、安定した成長を保証するのは難しい業界だ。
2020年は新型コロナウイルスの影響で自炊する人が増え、小型調理家電が爆発的に売れた年だった。中国電子信息産業発展研究院(CCID)が公表した「2020年上半期中国家電市場報告」によると、中国の家電市場の同年上半期(1~6月)の小売総額は前年同期比で14.13%減少したが、小型家電(調理家電のほか美容家電・掃除家電などを含む)のネット通販の小売総額は12.4%増の780億元(約1兆4000億円)に達した。
この消費熱は昨年も続いたわけではない。ビッグデータ分析の「奥維雲網(AVC)」が公表したレポートでは、昨年上半期の小型調理家電の小売総額は8.6%減の250億8000万元(約4600億円)で、販売台数は8.2%減の1億1900万台だった。
小型調理家電メーカーの「小熊電器(Bear Electric Appliance)」や「新宝電器(Xinbao Electrical Appliances)」などの成長率は昨年大幅に減少し、株価も値下がりした。短期的に見ると2020年の爆発的成長の反動減だと言えるが、中長期的に見ると消費者がより価値の高いものを購入したい意向があるのに対して、小型家電業界全体がイノベーション力、競争力に欠ける結果だと考えられる。
新興テック企業の鋭図科技(Rotel)は約5年かけて遠赤外線による加熱技術を開発してきた。分子のエネルギー準位を遷移させることで熱電変換効率を98.4%まで向上させた。また、ODM企業でもあり、多くの大手ブランドに対し、設計から開発、生産までを網羅するサービスを展開している。今後はキッチン、ウェアラブル、セルフケアなど多岐にわたる製品のプライベートブランド(PB)を展開予定だ。
「中国の家電業界は転換期に入ったところだ。どのように消費者のニーズに応えるのかが企業にとって大きな課題になる」Rotel創業者兼CEOの李剛氏はこのように指摘し、「我々は2016年からシフトチェンジを行い、長期的な価値を構築するという角度から多額のリソースを遠赤外線の基礎技術開発に割いてきた。2019年から製品を市場に投入し、昨年8月に工場が完成、量産をスタートさせた。(昨年12月時点で)2万4500台分の受注に対応中だ」と説明した。
遠赤外線加熱の原理は、食品を加熱する際に分子が同じ波長を持つ遠赤外線を吸収し、分子の共振作用を起こす現象を利用するものだ。この時分子に運動エネルギーが与えられ、運動エネルギーにより熱が生まれる。分子間の衝突や摩擦でも熱が発生する。
Rotelのフライパンは、ステーキを焼く時に製品本体が発熱するため、低温調理であっても、従来は超高温で加熱する調理法でしか出せなかったメイラード反応(褐変反応)が起こる。独特な風味を出せるうえ、従来よりも短時間で火が通り、煙も出さず、トランス脂肪酸も出さない。また、魚を蒸す際は、通常の蒸し器だと加熱して6分ほどで蒸気が出はじめ、13分でようやく蒸気量が最大に達するが、遠赤外線蒸し器は加熱後すぐに140度の高温蒸気を発し、蒸し時間の大幅な短縮と高温殺菌を行える。透明なデザインで見た目も美しい。
中国の産業研究機関「前瞻産業研究院」の報告によると、世帯あたりの小型家電所有台数は米国が31.5台で世界1位、それに続くのはイギリス、オーストラリア、ドイツ、フランスで保有台数は20~30台といずれも多い。中国では9.5台と欧米に比べて数が少なく、伸びしろのある業界だ。オーブンや炊飯器、ポット、コーヒーメーカーなど、電気加熱されるものはすべて遠赤外線技術に代替可能で、大幅な省エネと二酸化炭素排出量の削減を叶えるだけでなく、すぐれた製品性能体験も生み出せる。
Rotelの中心メンバーは家電業界で長年の経験を持っている。李CEOはこれまで家電大手「美的(Midea Group)」の幹部を務め、製品、運営、海外進出など豊富な経験を持つ。共同創業者の閻海亮氏は家電ECプラットフォームの立ち上げやネット大手テンセント(騰訊控股)からの資金調達経験もある。
(翻訳・Qiunai)
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