「発火まで5分」から「2時間燃えない」へ。中国、EV電池の安全基準を大幅強化

中国で電気自動車(EV)用電池の安全基準が大幅に強化される。新エネルギー車(NEV)の新車普及率が60%を超えるなか、「史上最も厳しい」とされる新たな国家標準「GB38031-2025(電気自動車用駆動用蓄電池の安全要求)」が2026年7月1日に施行された

最大の変更点は、熱暴走時の安全要件だ。従来は「熱暴走発生後5分以内に発火・爆発しない」ことが求められていたが、新基準では少なくとも2時間は発火・爆発せず、すべての測定点の温度が60℃以下であることを義務付けた。さらに、電池には熱暴走を単に遅らせるだけでなく、能動的にその進行を遮断する機能も求められる。

また、新基準では車両への「ワンタッチ高電圧遮断」機能の搭載を義務化。従来のソフトウエア制御ではなく物理的な遮断機構を採用し、車両が停止中で充放電を行っていない状態では、ドライバーが1度の操作で高電圧システムを遮断できるようにした。事故時の救助活動の安全性と迅速性を高める狙いがある。このほか、電動ドアハンドルが停電時に作動しなくなる問題を受け、車内外の双方に機械式の非常用ドア開放装置を設けることも義務付けられた。

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試験項目も拡充され、車両の底面衝突や飛び石による損傷を想定した電池パック底部への衝突試験に加え、300回の急速充電サイクル後の安全試験も追加され、長期間の急速充電後も安全性能を維持できることが求められる。急速充電で発生しやすいリチウムデンドライトによる内部短絡や熱暴走リスクへの対策を強化する。

新基準は段階的に適用される。7月1日以降に新たに型式申請する車種は新基準への適合が必須となり、すでに販売されている車種には1年間の経過措置が設けられる。27年7月までに、すべての車種が新基準に適合しなければならない。中国の比亜迪(BYD)や寧徳時代(CATL)の電池のほか、シャオミ(小米)、トヨタ自動車など大手メーカーの一部製品は、すでに新基準の認証取得を前倒しで完了したことを発表している。

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業界関係者によると、新基準への対応により、容量60kWhのリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池パックのコストは約10%(約800元/約1万9000円)、三元系リチウムイオン電池は約12%(約1000元/約2万4000円)上昇する見込みだ。中・高価格帯モデルへの影響は限定的とみられる一方、利益率の低い低価格帯EVではコスト負担が重くなる可能性があり、安全性能の向上と収益性の両立が今後の課題となりそうだ。

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*1元=約24円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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