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TikTokとその中国版「抖音(Douyin)」を運営するバイトダンス(字節跳動)が、エンターテインメント事業への注力を強めている。
バイトダンスは2021年12月、映画チケット販売アプリ「影托邦(Yingtuobang)」を運営する「楽影匯(上海)文化伝媒(Le Ying Hui (Shanghai) Culture Media)」を買収した。同社は企業向けサービスとして、映画を利用した福利厚生やマーケティングなども提供している。影托邦は中国全土8000カ所以上の映画館および各種オンライン決済サービスと提携している。
楽影匯は今後も企業向けサービスを継続し、映画チケットのオンライン販売では抖音と連携する。抖音の映画チケット販売用ミニプログラムには、すでに影托邦のほかテンセント(騰訊)と美団(Meituan)が出資する「猫目娯楽(Maoyan Entertainment)」とアリババ系の「淘票票(Tao Piao Piao)」が並ぶ。
経済メディア「新浪財経(Sina Finance)」 によると、中国オンラインチケット市場では2年連続で猫目娯楽がシェアの6割以上を占めてトップ、淘票票が2位となっている。この状況は今後しばらく続くとみられるが、バイトダンスにとっては大きな問題ではない。同社の主な狙いはチケット販売による収益ではなく、生活関連サービスとチケット販売を含むエンターテインメント事業との相乗効果にあるからだ。
バイトダンスは楽影匯の買収直後、漫画アプリ「一直看漫画(Yizhikan Comics)」の運営会社「北京漫迹網絡科技」を買収し、傘下の「北京鼎臻科技(Beijing Dingzhen Technology)」の完全子会社とした。これに伴い、一直看漫画はバイトダンスの文学事業部門に編入された。
以前、同社は中国最大の漫画アプリ「快看漫画(Kuaikan Comic)」に出資したが、長期にわたって株式を保有することはなかった。しかし、漫画の映画化やゲーム化が盛んになったことで、同社も漫画を文学作品に次ぐ原作供給源として重要視せざるを得なくなったとみられる。
バイトダンスはここ2年近く、企業買収や投資だけでなく新規事業の開発を進め、エンターテインメント事業の幅を広げてきた。現在は、下の図のように音楽、映画、文化・クリエイティブ、ゲーム、エンターテインメントコミュニティ、文学作品、漫画・アニメなどに関する事業を展開している。
ビジネスメディア「晩点(LatePost)」によると、TikTokの2021年の広告収入は40億ドル(約4560億円)近くに上っている。バイトダンスがエンターテインメント事業でTikTokと同等かそれを上回る収益を出し、新たな成長曲線を描き出すことに期待したい。
(翻訳・田村広子)
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