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企業のHR(人的資源)を一括管理するプラットフォームを運営する中国「北森雲計算(Beisen Cloud Computing)」(以下「北森」)が1月10日、香港証券取引所メインボードへの上場を目指し、目論見書を提出した。
北森への出資者陣は豪華な顔ぶれだ。20%以上の株式を保有する「マトリックス・パートナーズ・チャイナ(経緯創投)」を筆頭に、「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」、「中国国際金融(CICC)」、「深圳市創新投資集団(Shenzhen Capital Group)」、ゴールドマンサックス、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2など有名投資機関が名を連ねる。北森はIPOに先立ち、2021年7月にシリーズFでソフトバンク・ビジョン・ファンド2やゴールドマン・サックスなどから2億6000万ドル(約300億円)を調達したと明らかにしている。
北森は2002年に設立されたHCM(人的資本管理)SaaS業界の先駆者だ。2010年に同社初のクラウド型人材採用システムを発売、2016年にPaaS(Platform as a Service)を開始し、その後これらを一括管理型のプロダクトに統合した。
現在、同社は独自開発したプラットフォーム「iTalentX」をベースにした企業向け一括管理型HCM SaaSを構築し、人材の採用、評価、管理、育成、定着に関するサービスを顧客に提供している。iTalentXはPaaSとして構築されており、ソリューションは高い拡張性を持ち、顧客もその提携先もPaaSを介して速やかにカスタマイズが行えるようになっている。
北森の会計年度(3月決算)ごとの売上高は、2019年が3億8200万元(約70億円)、2020年が4億5900万元(約83億円)、2021年が5億5600万元(約100億円)、2021年上半期(4~9月)が約3億1300万元(約57億円)、売上高総利益率はそれぞれ60.6%、59.8%、66.4%、60.4%となっている。一方、同期間の損失は累計37億元(約670億円)を超えている。
HCM業界は長年をかけて、基本のHRソフトウェア、採用管理システム、学習管理など多くのジャンルに細分化した。各ジャンルでソフトウェアサービスを提供する経験豊かな企業が育ったが、大企業はこれまで、必要なジャンルごとに個別にソフトウェアを購入せねばならず、ソフトウェア間のデータの相互連携が問題になっていた。
北森にとっては、プラットフォーム化や統合戦略を決めたことが重要な一歩となった。人材採用などの既存モジュールをベースに2016年にHRの基本ソフトウェア「eHR」を発売。2019年にモジュール化をほぼ完了させ、2020年にこれらを統合したプラットフォームとしてiTalentXをリリースした。この間、北森はベンチャー向け店頭市場「新三板(NEEQ)」の上場廃止も経験している。戦略転換の難しさは想像に難くない。
戦略転換の成功で、北森は他社のプロダクトとの差を広げ、さらなる鉄壁を築いた。
商業化については、北森は他社を大きくリードしている。北森は現在、テクノロジー、不動産、金融サービス、自動車、製造業など成長著しい大規模産業の、それぞれ上位10位に入る企業をはじめとした約4500社を顧客とする。米経済誌フォーチュン中国版が発表した500強企業のうち、7割近くが北森の顧客だ。
2020年のHCM SaaSプロバイダー上位5社の市場シェアを売上高で計算すると、北森は現在12.0%を占め、2位と3位(共に5%未満)の合計よりも多い。IT専門調査会社IDCのレポートによると、北森は5年連続業界首位を維持している。
投資コンサルティング会社「灼識咨詢(China Insights Consultancy)」によると、中国のHCM市場の規模は2016年の1784億元(約3兆2300億円)から2020年は3199億元(約5兆7900億円)に成長し、年平均成長率は15.7%、2026年には8756億元(約15兆8600億円)に達すると予想されている。北森が手掛けるHCM SaaS分野の市場規模は2026年には581億元(約1兆500億円)に達し、2020~2026年の年平均成長率は24.2%になると見込まれている。
(翻訳:浅田雅美)
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