TikTokが飲食向けサービスを強化、大衆点評と競合へ

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TikTokが飲食向けサービスを強化、大衆点評と競合へ

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月間アクティブユーザー数が世界で5億人を突破した「TikTok(抖音)」が、飲食店向けサービスの強化を図っているようだ。このたび、飲食店関連のアカウントページで割引クーポンが発行されるようになったのだ。

フード関連の動画に付されたリンクから飲食店情報ページに飛ぶと、一部店舗でクーポンが発行されている。「50%OFF」とお得感は大きいが、現時点では一部のアカウントが発行しているに留まり、有効期間も短い。また、ユーザーにそれほど認知されているわけでもない。しかし、TikTokが飲食関連サービスの強化に乗り出しているのは明らかだ。

中国の飲食市場は巨大

中国飯店協会(CHINA HOSPITALITY ASSOCIATION)が発表した「2018中国飲食業年度報告」によると、2017年の中国飲食業界の市場規模は前年比10.7%増の4兆元(約64兆円)。消費財市場の増加率を上回った。この大市場にTikTokが目を向けるのも当然だろう。

TikTokは昨年11月に「美食基金」なるサービスを導入した。動画内に登場する飲食店の店舗情報ページを「お気に入り」登録するようにユーザーを誘導してデータ分析に役立てるとともに、「跟着抖音走遍全国(TikTokと全国を巡ろう)」というトピックも立ち上げ、全国各地のインフルエンサーが投稿したフード関連動画を一堂に集めた。このトピックは大変な人気となり、各地のご当地グルメをPRする結果につながった。

TikTokは「大衆点評(Dianping)」のようなグルメ口コミサービスを育てようとしているのかもしれない。逆に、同分野の老舗である大衆点評も、TikTokのようなショート動画を重視し始めている。同アプリは、以前は静止画が中心だったが、現在はショート動画が目立つようになった。動画をクリックすると店舗情報を確認できるだけでなく、クーポンなども表示される。操作感覚はTikTokに近い。

もちろん、飲食サービスを拡大するための手段は他にもある。最近、WeChat(微信)はユーザーの現在地からの距離と好みで飲食店がリスティングされる機能「付近の飲食店」をエリア限定でテスト中だ。「付近の飲食店」には「美食圏(グルメサークル)」機能もあり、サークル内でユーザー同士が飲食店や料理に関する情報を交換できる。

このように、TikTokにしろWeChatにしろ、飲食向けサービスを試行錯誤している最中だ。

TikTokにかかるプレッシャー

大衆点評と比較すると、TikTokはショート動画分野での経験が豊富で、ヒット作を生み出すノウハウに長けている。また、ユーザーの動画作成能力も秀でている印象を受ける。

しかし、TikTokは「いいね!」獲得数、フォロー数、視聴時間などに基づいて動画をレコメンドするアルゴリズムなので、視聴者の人気を得られなければ、動画は拡散していかない。同ジャンルの動画が数多く存在している中、多くのフォロワーを獲得するのは難しい。結果として、動画が目にとまる機会は少なくなってしまう。

また、TikTokのヒット動画は簡単にコピーされるので、ヒットするコツを掴んでも来店者数が増えるとは限らない。「ユーザーの集中力は8秒」とも言われる現在、ユーザーの注意を引くことは至難の技だ。

消費者の視点に立てば、飲食店のロケーション、レビュー点数も店選びの重要な要素となる。クーポンが一定の効果を生むのは確かだが、ユーザーが「近くのおいしいレストラン」を真剣に探しているなら、TikTokの現在のリスティングでは十分とは言い難い。

ショート動画を閲覧する心理の裏側には、奇妙で珍しいものを観たいという欲求やリラックスしたいという欲求があり、あからさまな広告を観たいと思う人はいないはずだ。人気動画でなければユーザーは立ち止まってゆっくり鑑賞しようとは思わないし、店舗情報にも注意は向かないだろう。そのため、いかにして動画から「広告っぽさ」を消し去り、若者の関心を引くファッショナブルな内容に作り上げられるかが試される。TikTokが巨大な飲食市場で成功を収めるためには、クーポンだけでなく、大衆点評や「美団(Meituan)」との差別化戦略を打ち立てる必要もあるはずだ。

より多くのユーザーに長く関心を持ってもらうためには、飲食店とTikTok双方の努力が必要で、起爆剤となる人気動画を生み出し続けなければならない。
(翻訳・飯塚竜二)

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