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研究に用いる細胞、遺伝子、微生物などのバイオリソース(生物遺伝資源)を超低温で保存する自動化システムを提供する「基点生物科技(Genepoint Biological Technology)」が、シリーズC2で1億2000万元(約22億円)を調達した。出資を主導したのは洲嶺資本(LYFE Capital)と株主の徳屹資本(DYEE Capital)。
基点生物科技は2015年に設立され、上海市に本社を置くほか、研究開発と製造の拠点を四川省成都市に有する。バイオリソースを超低温保存する自動化システムとソリューションのプロバイダーで、液体窒素を用いた全自動超低温保存ケース「Hatch」「Hatch-Lite」シリーズ、全自動超低温保存庫「KIOSK」シリーズ、超低温状態を維持しながら試料管を運ぶロボット「Pelican」、超低温状態で試料管の取り出しを行うワークステーション「Hatch Mate」などを設計・開発し、超低温保存製品シリーズのすべてでスマート化・無人化を実現した。
基点生物科技は可動部品を全て機器に内蔵させるという独自の技術ロードマップを採用し、試料の保管エリアと作業エリアで「同一温度の運用環境」を実現した。保管する試料をライフサイクル全体にわたって一切の温度変化を起こさずに取り扱うという条件を満たし、試料の質に影響せず、実験結果に干渉せず、高度なバイオセーフティ(微生物や病原体の曝露・漏出事故の防止)レベルを維持する。
バイオリソース保管業界は、人類の生命と健康の発展の礎となるものだ。生体試料は精密医療や最先端の生物学研究にとって最も根本的な土台であり、臨床研究用の患者試料の採取や疫学・公共衛生学の研究、コホート(臨床研究の対象集団)研究と収集、バイオ医薬品の研究開発用試料の保管、細胞治療、遺伝子検査、生殖補助医療、動植物の遺伝資源の保管、法医学鑑定などの分野で広く活用されている。
科学研究や生物学的製剤分野では各種コホートやオミックス情報(ゲノムやタンパク質など生体分子に関する網羅的な情報)に関する研究が急成長しており、これに伴って大量の試料収集が必要となっている。100万点以上の試料を保存することも少なくなく、一つの部署が数台の冷蔵庫を持てば小規模のバイオバンク(試料と関連情報の保管システム)を独自に管理できた時代とは比べ物にならない状況となった。試料の数が段階的に増えていくのにつれ、人の力ではバイオバンクの収集・管理作業は追いつかず、試料保管の全自動化が強い需要となった。
さらに、2019年に施行された「中華人民共和国人類遺伝資源管理条例」や2020年に公布された「生物安全法」によって、バイオセーフティに関する管理・制御はいっそう強化され、感染症の潜在リスクを持つ試料の管理も強化され、生物試料のトレーサビリティに求められる条件も一層上がった。バイオバンクの自動化、情報化、スマート化はすでに時代の主流となり、欧米諸国ではバイオバンクが人による管理から完全自動化に向けて進化する約20年の流れの中で、すでに検証結果が得られている。
新型コロナウイルスの感染爆発以降、ウイルスの持つ高い感染力や強い病原性は、試料の処理から検査・試験、保管までの全作業過程を自動化させることに対する最も直接的な後押しとなった。手作業では遅く、時間がかかり、処理量が少ないうえに感染のリスクも伴う。自動化へ置き換わるのはある種必然だといえる。感染状況を制圧しなければならない厳しい状況下、実験室はあらゆる場面で高度な安全性、可制御性、トレーサビリティが求められ、自動化機器も安全性、安定性、操作性に対して最も厳しい条件を突きつけられている。
業界では2020年が実験室の自動化元年、2021年が試料保管のスマート化・自動化を含む実験室自動化の勃興年ととらえられている。
同社はコロナ禍で急速に市場シェアを拡げた。同社によると、超低温保存の自動化機器としては中国市場でシェア1位となっている。中国国内の主な顧客には中国医学科学院北京協和医院、復旦大学付属腫瘤医院、中国国家遺伝子バンク、健康医療ビッグデータ西部研究院、国家疾病予防コントロールセンター、上海張江バイオバンクなどが名を連ねる。
(翻訳・山下にか)
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