経費申請~支払い自動化、支出管理SaaS「分貝通」が160億円調達

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企業向け支出管理プラットフォーム「分貝通(Fenbeitong)」がシリーズC+で1億4000万ドル(約160億円)を調達した。出資を主導したのは「DST Global」で、「D1 Capital Partners」、「WhaleRock Capital Management」、サウジアラムコ傘下「Prosperity7 Ventures」、「Emergence Capital」や株主の「高瓴創投(GL Ventures)」なども出資した。

分貝通は2021年3月にシリーズCで資金調達を実施したと発表している。それから1年、同社のプロダクトや組織にはさらに変化があった。

組織面では従業員数が倍になり、今年は販売・CSM(顧客のサクセスマネジメント)部門を中国内の12都市に新設し、チャネル管理部門を主要一〜二級都市で展開する計画だ。創業者の蘭希CEOは、より高い組織力が求められるようになると述べる。

事業面では過去3年にわたり売上高が年3倍のペースで伸び続けてきた。現在、顧客維持率は85%で、売上継続率(NRR、既存客からの売上高の維持率)は130%を超える。収益源はSaaSの年間使用料、GMV(流通取引総額)に応じたリベート、レベニューシェア(収益分配)の3つで、収益源が複数あることが売上高の伸びにつながっている。

また、昨年は新規顧客が前年の3倍近くに上った。コロナ禍前の主な顧客はニューエコノミー(新経済)型の企業や急成長中の企業だったが、現在では従来型の企業にまで顧客を拡げ、従業員数200〜5000人の中堅企業をターゲットとしている。

プロダクト面では「経費の事後申請」と「口座の一本化」という二つの重要な機能を実装した。

「口座の一本化」とは、一つの銀行口座ですべての経費支出を管理する機能だ。ソフトウェアに多くの開発リソースを投じ、総予算、経費申請、支払い管理、自動承認、セルフ決済などの機能をアップグレードさせ、企業の支出管理体験を全面的に向上させた。支払いに関しては複数の株式制商業銀行(株式の半分以上を政府が所有する民間銀行。全国に12行ある)と緊密に連携し、一つのデジタル口座で管理と支払いを済ませられるようにした。経費の発生場面では、航空会社やホテル、オンライン配車サービス、外食プラットフォームなど出張費に関連する企業と提携し、全取引を一つの銀行口座で決済するようにした。

蘭CEOは2015年、従来の経費申請が透明性に欠け、効率が悪く、データが分散している、出張関係の予約が面倒、経費の立て替えが従業員の負担になるなどの問題点があることを実感した。そこで支出管理の解決策として分貝通をスタートさせた。支出の頻度が高い出張や食事関連から取り組みはじめ、徐々にすべての支出をカバーするようになり、費用管理、支払い、使用場面を一体化させて次世代の支出管理プラットフォームを目指した。企業の従業員は分貝通を使えば飛行機や列車、ホテルやタクシー、食事などを直接予約でき、経費申請や一時立て替えなどをしなくて済むようになった。企業は口座に入金さえしておけば、従業員から領収書を集めて1枚ずつ照合したり精算したりといった従来の面倒な作業から解放される。

出張費に加えて、昨年からはその他の経費申請にも対応するようになった。プラットフォームを利用する企業の20%以上が新機能を利用しているという。

中国の投資業界では昨年、企業の支出管理や費用管理分野が注目を集めた。同分野は世界中でも成長中で、昨年は世界のSaaSおよびフィンテック業界で最も熱い分野とされ、十数社ものユニコーン企業が誕生している。

世界には分貝通のような企業が100社近く存在する。米国の「Brex」「Ramp」「Divvy」、フランスの「Qonto」、英国の「Soldo」デンマークの「Pleo」、メキシコの「Jeeves」などユニコーン企業となった十数社はいずれも設立から4〜5年の企業だ。中でも最も成長著しいのがBrexで、評価額は123億ドル(約1兆4100億円)となっている。

分貝通はBrexのほかに「Bill.com」「Ramp」をベンチマークとしており、過去3年でBill.comの評価額は26倍、Brexは11倍となった。設立3年に満たないRampの評価額は80億ドル(約9200億円)となっている。

分貝通に今回出資したDST Global、D1 Capital Partners、WhaleRock Capital Management、Prosperity7 Ventures、Emergence Capitalはいずれも創業初期のBrex、Ramp、Divvy、Bill.com、Jeevesに出資し、株主となっている。
(翻訳・山下にか)

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