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ブロックチェーン技術を利用したNFT(非代替性トークン)を手がける豪スタートアップ「Immutable(イミュータブル)」が新たに2億ドル(約240億円)を調達し、評価額は25億ドル(約2900億円)となった。ロイター通信が報じた。出資を主導したのはシンガポール政府系投資会社「テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)」で、韓国の「未来アセット(Mirae Asset)」、「ParaFi Capital」、「Declaration Partners」、テンセント(騰訊)も参加した。2021年に実施した前回の資金調達時の評価額は4億1000万ドル(約480億円)だった。
Immutableの本部は豪シドニーにあり、2018年6月にロビー・ファーガソンとジェームズ・ファーガソン兄弟によって設立された。同社はプレイヤーがリアルなゲーム資産を所有できるブロックチェーンゲームの開発に特化する。注目に値するのは、今回の出資者にテンセントが名を連ねる点だ。同社によるNFT分野への投資が明らかになるのは今回が初となる。
Immutableが開発したNFTゲーム「Gods Unchained」と「Guild of Guardians」では、ブロックチェーン技術によってゲームコミュニティやインセンティブ制度が設けられている。これによりプレイヤーは、コミュニティ内ではNFTの形式でデジタル資産の所有権を維持できる。
また、ImmutableはNFT取引プラットフォーム「Immutable X」を開発し、ゲームプレイヤーがNFT資産を形成・取引する際に直面する高額な取引手数料や同時実行性などのさまざまな課題に取り組んでいる。公式サイトによると、「Immutable X」は1秒あたり最大 9000 件以上の取引を処理できる。
「Immutable X」は、より多くの提携パートナーが同プラットフォーム上でNFTの発行やブロックチェーンゲームを開発するよう取り組んでおり、ショート動画アプリ「TikTok」運営をするバイトダンス(字節跳動)や米ゲーム小売大手「GameStop」など多くの大企業とも提携で合意済みだ。TikTokは昨年10月、コンテンツクリエイターが報酬を得る方法として「Immutable X」と提携してNFTを公開しており、TikTokクリエイターが重要な瞬間を記録できるようになった。
Immutableは今年2月、GameStopとの提携を発表した。両社はNFT取引プラットフォームを共同開発すると共に1億ドル(約120億円)のゲーム特化ファンドを立ち上げる計画だ。エコシステム内で次世代インターネット「Web3.0」のゲーム開発を支援し、ゲーム開発者やスタジオがWeb3.0に取り組みやすくする方針だという。
米国では、ブロックチェーン技術に基づくNFT、暗号通貨、Web3.0スタートアップへの投資がブームとなっているが、中国では規制動向が不透明なため、テクノロジー企業は大手から中小まで同分野への投資をそこまで積極化していない。
テンセントは昨年8月、自社開発の初のNFT商品であるNFT取引プラットフォーム「Huanhe(幻核)」を公開した。しかし、規制のため外国で主流の分散型パブリックチェーンの代わりにテンセントも参加するコンソーシアム型ブロックチェーン「Zhixinchain(至信鏈)」を利用するなど、海外企業と比べNFT分野へのアプローチは保守的だ。
Immutableはスマートコントラクトプラットフォームと人気NFTゲーム双方を展開するNFT分野の主要プレイヤーの1社だ。NFTゲームは昨年以来急速に成長し、Dapp(分散型アプリケーション)データ統計のToken Terminalによると、昨年話題を集めたNFTゲーム「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」は、2021年7月15日の売上高がトークン換算で820万ドル(約9億6000万円)以上となった。これは、テンセントの人気ゲーム「王者栄耀(Honor of Kings)」の6月の1日当たり平均売上高920万ドル(約10億7900万円)に迫り、「PUBG MOBILE」の6月の1日当たり平均売上高710万ドル(約8億3000万円)を上回る。
テンセントの経営陣に近い人物によると、同社は現在国内の消費者向けベンチャープロジェクトにほとんど投資していないという。投資を通じた新事業開拓に長けるテクノロジー大手のこうした姿勢は、モバイルインターネットのイノベーションが終盤に差し掛かっていることの現れともとれるが、今後台頭する可能性があるWeb3.0分野に関しては、環境が整っていない国内よりも海外プロジェクトに投資するのがより現実的だろう。
「微信(ウィーチャット)」の生みの親であるテンセントの張小龍副総裁は2021年のテンセントの従業員会議において、Web3.0を巡る熱狂は見せかけだけかもしれないが、中国のWeb2.0が失望に終わったのは間違いないと述べている。
(翻訳・大沢みゆき)
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