テンセント出資のシンガポール発フィギュア「Mighty Jaxx」、33億円調達 メタバースに注力

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シンガポールの大人向けフィギュアブランド「Mighty Jaxx(マイティージャックス)」はこのほど、シリーズA+のラウンドで、インドネシアのベンチャーキャピタル(VC)、イーストベンチャーズなどから1億7000万元(約33億5100万円)を調達した。調達した資金は主にメタバース(仮想空間)事業の拡大に充てる。

マイティーは2012年にシンガポールの玩具デザイナー、 欧傑盛(Jackson Aw)氏が設立。「デザイナーズトイ」や「アートトイ」とも呼ばれるキャラクターフィギュアの企画・制作・販売が中核事業で、自社デザインスタジオを構える。「セサミストリート」「ワンピース」「マイリトルポニー」といった人気アニメのキャラクターブランドとIP(知的財産)に関わる長期契約を結び、コラボ商品も多い。

既に北米や欧州、中国、東南アジアなどで商品展開を進める。これまでは米国が最大市場だったが、同国での販売の伸びが鈍化していることから、他市場の開拓を急いでいる。特に照準を合わせているのが、成長が著しい中国だ。

マイティーが制作したマイリトルポニーのオリジナルフィギュア

中国社会科学院が公表した21年版の「中国潮流玩具市場発展リポート」によると、15~20年に同国キャラクターフィギュア産業の成長率は年率平均で36%と高水準で推移。22年は478億元(約9400億円)規模に達する見通しだ。また同国のインターネット業界の調査会社「易観分析(Analysys)」は、中国玩具コレクターの中核消費者層が、19年の3000万人から25年には1億人の大台を突破すると試算している。

マイティーは19年に中国に初出店。OMO(オンラインとオフラインの融合)戦略を取る中、新規出店も加速する方針。22年は前年末の2.4倍の1200店超の達成を目指す。中国モバイルゲーム配信会社、創夢天地科技控股(iDreamSky)との提携効果が期待されている。

欧氏は36Krに対し「この数年で、売上高全体に占める中国の割合が6割を超えた」と指摘。その上で、具体名は避けたものの、今後中国の著名IP企業と共同で、同国市場向け商品ラインアップを打ち出す計画を明らかにした。中国内の人員も拡充する予定。

市場では同業の中国大手、泡泡瑪特国際集団(ポップ・マート・インターナショナル・グループ)が21年12月に香港取引所への上場を果たして注目度が一気に高まったことや、日本やシンガポールなどの近隣市場と比べ寡占化が進んでいないことなどから、まだまだ発展の余地があるとの見方が一般的だ。

今年のメタバース事業売り上げ、3倍に

一方、マイティーは現在、中核のフィギュア以外に、IPの活用支援、ゲームやスポーツなどの付帯商品開発、メタバースの3事業に取り組む。このうち、向こう2年間の重点と位置付けるのが、新規事業でもあるメタバースだ。

欧氏によると、21年にはアート・デザインイベント「DesignerCon(デザイナーコン)」で、ニュージーランドのデジタルアート収集品アプリサービス「VeVe(ヴィヴィ)」と協力し、コレクション「Inked Stories:Eve」の非代替性トークン(NFT)を発売した。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使ったデジタル作品で、初回は888セットを用意し、発売から数秒で完売したという。

今後に関しては、アーティストとブランドを合わせた約100種類のIPに言及。今年末までにメタバースプラットフォーム内でバーチャル商品の販売を目指す構えだ。欧氏は「22年のメタバース事業の売上高は前年の3倍になるだろう」と述べ、収益源の拡大に自信を示した。

今回の資金調達では、イーストベンチャーズが「リード投資家」として出資の取りまとめ役を務め、暗号資産(仮想通貨)投資会社のミラナベンチャーズ、韓国金融大手、金融持ち株会社の投資子会社KBインベストメント、韓国VCのコリア・インベストメント・パートナーズなどが参加。戦略投資家として、創夢天地と非公開の中国IP企業も加わった。

マイティーは21年8月、テンセントが主導したシリーズAで1000万ドル(約12億5900万円)を調達している。

(36Kr Japan編集部)

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