「王者栄耀」ゲーム実況を巡る裁判でテンセントに軍配、バイトダンスには手痛い一撃

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SNSでの非難合戦から始まったテンセント(騰訊)とバイトダンス(字節跳動)の争いに、ついに判決が下った。

法制日報など複数のメディアが報道したところによると、広州知的財産権裁判所は今年1月、動画アプリ「西瓜視頻(Xigua Video)」に関わる「運城市陽光文化傳媒有限公司(Yangguang Wenhua)」、「今日頭条有限公司(Toutiao)」、「北京字節跳動科技有限公司(バイトダンス)」の3社に対して、「王者栄耀」のゲーム実況を停止するよう命じる判決を出した。

裁判所は、西瓜視頻が「王者栄耀」のゲーム実況を配信していると認定。前出の3社は、同ゲームの開発や運営に投資していないにもかかわらず、著作権者の許可や対価の支払がないまま実況して利益を得たことで、原告の法的利益を侵害したと判断したのだ。

昨年11月、テンセントは著作権の侵害と不正競争を理由として、前出の3社を提訴した。3社は、同案件が新しいタイプの著作権紛争であり、ネットゲームの実況に著作権が存在するかが争点だと主張。以前から、ライブ動画アプリ「YY直播(YY Live)」と音声チャットアプリ「YY語音(YY Language)」がゲーム「夢幻西遊」の著作権を巡り、ポータルサイト「網易(NetEase)」と法廷で何年も争っているが、決着はついていない。

今回の判決はゲーム実況における初の差し止め命令であり、今後の著作権保護につながる非常に意義深いものだ。テンセントは「判決結果が全てであり、他にコメントすることはない」と述べた。バイトダンスからのコメントは得られていない。

ショート動画に端を発したテンセントとバイトダンスの戦いは、両社が法廷で争うまでにこじれ、今日頭条とTikTokのゲーム関連事業にも影響が及んだ。

昨年6月、バイトダンスは不正競争を理由にテンセントを提訴し、9000万元(約15億円)を請求した。テンセントもバイトダンスと陽光文化を相手取り、1元(約16円)の賠償と謝罪を求める訴訟を起こした。この時点で、テンセントは今日頭条とTikTokとの提携を中止することを決定。TikTokや今日頭条というプラットフォームにとって、テンセントは大口の広告主だったので、提携中止による影響は免れなかった。

その数日後、今日頭条のアンドロイド版アプリに「ゲーム」機能がひっそりと追加された。さらに今日頭条傘下の西瓜視頻チームがゲーム実況製品を開発していることが明らかになった。バイトダンスも着実に、テンセントへの反撃を始めたのだ。

現在、ゲーム配信認可の審査が再開されたことで、バイトダンスのゲーム事業にますます弾みがつくと思われたが、「王者栄耀」ゲームの実況禁止判決という痛恨の一撃を味わった。しかも大ヒットゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」や「PUBG」を含めて、テンセント傘下のゲームが全て配信できなくなったのだ。

テンセントとバイトダンスの緊迫した関係を考えると、西瓜視頻でテンセント系のゲーム実況が配信される可能性はない。このためバイトダンスは、自社でゲーム製品を開発する一方、ゲームブランドを買収するなどして、サプライチェーンの川上に向かって拡大を進めるとみられる。

対するテンセントは、良質のゲーム実況コンテンツをいっそう囲い込むと予想される。同社はライブ配信プラットフォームの「闘魚(Douyu)」と「虎牙(Huya)」に対して合計11億ドル(約1200億円)を出資。実況合戦に事実上、終止符が打たれた。

昨年の両社の対決はいずれも茶番に過ぎなかったが、今年はより直接的な利害の衝突が増えるだろう。娯楽系コンテンツの川上で支配権を持つテンセントが、バイトダンスに強いプレッシャーをかけていくのは明らかだ。
(翻訳・畠中裕子)

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