EV熱管理ソリューション「Pufaffen」、「クラウド・エアコン」で快適な車内温度を自動調整

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自動車の熱管理ソリューションを提供する「上海普法芬電子科技(Shanghai Pufaffen Electronics)」がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。リード・インベスターは梅花創投(Plum Ventures)、コ・インベスターは龍創汽車設計(LAUNCH design)が務めた。

2019年に設立された普法芬は、自動車の熱管理ソフトウエアの開発に注力するテック企業だ。数年にわたって電気自動車(EV)などの新エネルギー車の熱管理に深く関わり、制御アルゴリズムのやシミュレーションプラットフォームの開発、車両とクラウドの融合など最先端技術を含む事業を展開している。

自動車の熱管理は、車両のさまざまなメカニズムを適切な温度で作動させ、ドライバーや同乗者に快適な車内温度を提供できるようにするものだ。EVの中核である「三電(モーター、バッテリー、電気制御システム)」と並び自動車で最も大きな価値を持つ部分であり、EVの急増により成長のチャンスを迎えている。情報によると、現在のところEVの熱管理システムの価値はガソリン車の3~4倍という。中国国内の新エネルギー乗用車の販売台数は2025年までに550万台に達する見込みで、それに伴い熱管理市場も1000億元(約2兆円)規模に拡大すると予想されている。

普法芬創業者の張良氏によると、ソフトウエアによってさまざまな機能を実現する「ソフトウエア定義自動車」の考え方が広まるにつれて、自動車の熱管理システム、特に車内の熱管理におけるパーソナライズやスマート化がますます鮮明になってきたという。

目下、サプライヤーの多くはセンサー、コントローラーなどのコンポーネントに熱管理ソフトウエアやアルゴリズムを組み込み、ハードウエアとソフトウエアを一体化して自動車メーカーに納品している。しかし一体型の製品は開発に時間がかかるため、頻繁にモデルチェンジを行い刻々と変化する自動車メーカーからの要望にすぐさま対応するのは難しい。

またハードウエア・ソフトウエア一体型の納品だとコスト構成が不透明なため、調達する自動車メーカー側の負担も大きい。このため多くの自動車メーカーが、効果的にコストをコントロールできるよう熱管理システムのハードとソフトの分離を望んでいるのだという。

普法芬は車室内の熱管理、冷媒や循環水による熱管理、三電熱管理などのソフトウエアパッケージを提供しており、それにはオートエアコンやバッテリー熱管理システム、ヒートポンプシステム、CO2システムなどの制御アルゴリズムが含まれている。これらを通じて自動車メーカーが関連システムを自社開発できるよう支援している。

普法芬の熱管理システムの原理

張良氏は「ソフトウエア・アルゴリズムのみを提供することで、自動車メーカーは同じハードウエアをベースに、新たなシーンに対応したより多くの機能を開発して顧客体験を向上させられるほか、関連システムのコスト削減にもつなげられる」と語る。

コネクテッドカーの広まりを受けて、普法芬では自動車とクラウドを組み合わせた「クラウド・エアコン」を打ち出した。またアルゴリズムやコネクテッド技術を活用して、顧客が車両側の基本アルゴリズムとクラウド側の拡張機能を組み合わせたり、キャリブレーションパラメーターやモデルをネット経由で更新したり、インテリジェント機能を開発したりできるようにした。

車室内のエアコンをアルゴリズム制御するメリットとして、センサーの搭載量を大幅に減らして車両コストを抑えられる点が挙げられる。将来的には、利用者の情報を登録することで、異なる車両に乗ってもスマート制御で同じ温度環境を実現できるようになると期待されている。「クラウド・エアコンがドライバーの運転習慣や好みの温度に合わせて自動調整できるようになれば、産業的な意義は非常に大きい」と張良氏は説明する。

現在、普法芬の熱管理制御アルゴリズムはすでに中国国内の多くの自動車メーカーに供給されている。熱管理アルゴリズムには数学や流体力学、熱力学など多方面の知識が関係しており、長期にわたる経験を必要とする技術障壁の高い分野のため、これがそのまま同社の強みになっていると、張良氏は胸を張った。
(翻訳・畠中裕子)

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