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3月初め、中国の各不動産デベロッパーが1-2月の売上高を発表した。売上高上位企業は急成長を遂げた2018年をベースに比較するため、失速傾向にある。特に「恒大(Evergrande Group)」は前年を大幅に下回り、上位10社の顔ぶれにも変化があった。「融創(Sunac China)」はトップ5から転落し、「華夏幸福(CFLD)」は8位から17位に順位を落とすなど、巨大企業による急成長は止まったかに見える。
1-2月の売上高を見る限り、もはや急成長は期待できない状態だ。
中国の不動産業に関する情報サービス「克而瑞(CRIC)」によれば、売上高上位100社全体の2月単月の売上高(売買取引額)は前月比22.9%減少し、中でも上位51~100位は前月比32.6%減と減少幅が最も大きかった。実質ベースでは、上位100社の売上高は前月比約11%減であった。
ここ数年急激な勢いで売上高を伸ばしていた「碧桂園(Country Garden)」、恒大、融創等の巨大企業も今年は成長のスピードを緩めている。
碧桂園が公表した当社株主に帰属する売上高(契約ベース)は、2月単月で前年比8.42%増の418億1000万元(約6689億円)、1-2月累計額は748億8000万元(約1兆1980億円)であった。克而瑞の基準では前年同期比10%減となる。
「万科(China Vanke)」の2月単月の売上高(契約ベース)は、前年比21%増の431億9000万元(約6910億円)、1-2月は前年同期比11%減の920億7000万元(約1兆4731億円)であった。1-2月の減少率が大きかったのは、主に1月の売上高が前年同期比で28.1%の減少が響いた。
恒大はトップ3の座を守ったが、万科や碧桂園との差は広がった。2月の売上高(契約ベース)は、前年比55.28%減の約215億3000万元(約3444億円)、1-2月は前年比42.5%減の約647億元(約1兆352億円)であった。アナリストによれば、売上高の減少は、ここ数年の企業戦略の転換と土地使用権購入ペースの減速が関係しているという。
トップ企業の売上高が落ち込んだ理由には、2019年2月の旧正月に「Uターン不動産購入ブーム」が起こらず、成約件数が目に見えて減少したことや、急成長を見せた2018年1-2月の基準値が高かったことが挙げられる。
2018年は、不動産トップ企業の1-2月売上高(契約ベース)が1000億元(約1兆6000億円)を突破する記録的な年であった。
易居研究院シンクタンクの研究総監を務める厳躍進氏は、売上高の減少は正常なことだと語る。これは市場によって左右されるもので、市場全体の周期的な変化は、販売面積、売上高、平均価格への悪材料になりうる。一部の企業は返金騒動(不動産を値引き販売した業者に対し値引き販売前の購入者が返金を求めた抗議デモ)が減速の一因になった可能性もある。両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)が終われば、緩和政策に市場が反応するとみられ、5月以降に業績が回復する可能性は高くなるという。
克而瑞のデータによれば、ランキングトップ10では、前年と比べ売上高が減少した企業と増加した企業は半々となり、前年比減の企業は碧桂園、万科、恒大、融創、「龍湖(Longfor)」、前年比増の企業は「保利発展(Poly Developments and Holdings)」、「中海地産(China Overseas Property)」、「華潤置地(China Resources Land)」、「新城控股(Future Land Developmant)」、「緑地控股(Greenland)」であった。
保利発展は、月次売上データによれば、2月の売上高(契約ベース)は前年比54.31%増の334億400万元(約5344億円)。同じく、1-2月は前年同期比25.70%増の669億9500万元(約1兆719億円)であった。
また、新城控股は、月次売上データによれば、2月の売上高(契約ベース)は前年比45%増の約127億100万元(約2032億円)、1-2月は前年同期比24%増の236億5900万元(約3785億円)であった。
売上高上位企業の失速により、年間売上高1000億元(約1兆6千億円)の実力があればトップ10入りが可能となる。2019年は新城控股のようなダークホースが出現して、順位を大きく入れ替えるだろうか。ぜひ注目していきたい。
(翻訳・桃紅柳緑)
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