パキスタンのアリババを目指す「Dastgyr」、シリーズAで3700万ドルを調達 同国最高額

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パキスタンの電子商取引(EC)プラットフォーム「Dastgyr」がシリーズAで3700万ドル(約50億円)を調達した。シリーズAの調達額としてはパキスタンで過去最高となる。

オランダの通信大手として全世界に2億人以上のユーザーを抱え、パキスタンでは最大の携帯電話サービス業者となっている「Veon」が調達額のうち40%を出資。既存株主の「SOSV」「EquiTie」「Edgebrook Partners」が追加出資し、他にも多数の企業が出資に参加した。

今回の調達資金は技術改良、アプリの強化、現地にある200万社以上の中小企業をつなぐバリューチェーンの構築・向上に充てられる。

Dastgyrはオンラインのワンストップ・サービスプラットフォームとして、パキスタンの分散している中小規模の小売業者、流通業者、製造業者、雑貨店などによる企業間取引(B2B)の簡素化を目指している。従来型店舗の多くは毎週100社以上のサプライヤーと商談をする、もしくはさまざまなブランドや業者のウェブサイトを見て商品を仕入れているが、フロントエンドに小売業者、バックエンドにサプライヤーがいるDastgyrはパキスタンの小売システムを線で結び、B2Bの中間業者として両者のコストと在庫を削減できる。

ブランド運営、広告、商品サービス、紹介スペース、定期購入分析の5つがDastgyrの主な収入源となる。Dastgyrは設立から2年足らずでパキスタンの5都市をカバーし、1000以上のブランドと約10万社の小売業者がこのプラットフォームを利用している。

Dastgyrは今後、パキスタンで市場開拓を進めるほか、年内に中東や北アフリカなどの海外市場にも進出する計画だ。共同創業者のMuhammad Owais氏は「当初は小売店向けサービスのみだったが、現在はセメントや鉄鋼などの建材企業を含む新しい顧客にもサービスを始め、電子機器や医薬品、その他の小売業にも注目している」と説明。その上で「今後の目標は数年以内にユニコーン企業になること。また、バイヤー向けに『後払い決済』サービスをすでに提供しており、売り手向けの貸付サービスも近く開始する」と話した。

共同創業者のZohaib Ali氏は「世界の新興市場で中国のIT大手アリババグループのような存在になりたい。その使命を果たすために努力を続けていく」としている。

パキスタンは不毛さと豊かさが混在する国だ。ここでインターネット事業を起こすのは荒野を開拓するように難しい。同国の通信網は人口2億人のうち1億6500万人をカバーしているが、実際に3Gや4Gネットワークに接続しているのは7600万人で、普及率は35.90%にとどまる。因みに、中国では2018年に普及率が70%に達している。

一方、成熟した市場に比べ、パキスタンはインターネットに希少性があるため、市場の可能性と想像力が豊かだと言える。パキスタンのスタートアップは昨年だけで過去6年間の合計を上回る資金を調達し、その多くはECに関係する企業だった。

出資者のSOSVによると、今のパキスタンはインターネット経済が引っ張る発展モデルとなっている。インターネット経済が急成長した5年前のインドや10年前の中国を振り返ると、人口の75%以上がスマートフォンを持っており、モバイル端末向けサービスの先駆者が最終的な勝者となった。

Dastgyrの創業メンバー

Dastgyrの創業メンバーは食品製造、産業チェーン、技術、現地市場の理解において豊富な経験を有する。

(翻訳・大谷晶洋)

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