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7nmプロセスのハイエンド車載チップを開発する「湖北芯擎科技(Siengine)」が、シリーズAで10億元(約200億円)近くを調達した。資金は現行製品の大規模納品や、ハイスペック車載チップのさらなる開発に充てるという。
同社は今年3月にも第一汽車集団(FAW)から戦略投資を受けている。7月のシリーズAではセコイア・キャピタル・チャイナが出資を主導し、東軟(Neusoft)やボッシュ傘下の博原資本(Boyuan Capital)、中芯聚源(China Fortune-Tech Capital)を始め多数が出資に加わった。自動車や半導体の産業全体から出資者が集まったことは、芯擎科技に対する業界の期待や支持の表れであり、ハイエンド車載チップの市場展開にいっそう弾みがつくとみられる。
芯擎科技は、吉利汽車(Geely)の出資する億咖通科技(Ecrax)が半導体設計大手アーム(Arm)の中国合弁会社などと共同出資して2018年に立ち上げた会社で、高性能の車載チップやソリューションの開発に注力している。
自動車向けのチップはセンサーチップ、マイクロコントローラ(MCU)チップ、デジタルチップ、IGBTなどのパワーチップの4種類に大別できる。芯擎科技のCEO汪凱博士は、自動車にとって最も価値が高く、劇的な効果を体感できるのがデジタルチップだと語る。同社はスマートコックピット用チップからスタートし、徐々に高度な自動運転用チップや車載CPUの開発を手がけたいとしている。
汪凱博士によると、スマートコックピット向けアプリケーションには手堅い需要があり、現在は主にミドル~ハイエンド車種が採用しているが、今後は次第に多くの車種へと活用が広がる見込みだという。中金公司(CICC)調査部門の業界分析レポートが取り上げたローランド・ベルガーのデータでは、業界全体のスマートコックピット普及率は現在の約30%から2030年には90%に上昇し、自動車の標準装備になると予測している。芯擎科技は昨年12月に国産では初となる7nmプロセスのスマートコックピット用チップ「龍鷹1号」を発表した。
7nmプロセスを採用した龍鷹1号は8つのCPUコアとGPUコア14個を搭載し、8TOPS(int8)の処理性能を持つ畳み込みニューラルネットワークエンジンを内蔵、車載用電子部品の信頼性規格AEC-Q100のグレード3を満たしている。多次元かつ多視点のヒューマンマシンインタラクションが可能でさまざまな運転支援機能をサポートするなど、包括的な演算処理能力でスマートコックピットを支え、世界の自動車メーカーのニーズに応えることができる。
龍鷹1号は量産モデルの自動車で試験と検証を終え、今年後半にはチップの量産を開始する予定だ。まず吉利汽車の車種に搭載して量産し、その後は吉利の別の車種や他の自動車メーカーのモデルにも搭載される。汪凱博士によると、来年前半には龍鷹1号を搭載したモデルを販売する計画だという。さらに自動運転レベル2+からレベル5に対応した「龍鷹2号」チップのテープアウト(設計完了)も予定している。
スマートコックピット用チップには製品アーキテクチャ、製品定義、製造プロセスにおいて高い技術的ハードルがある。この点、芯擎科技にはサーバー向けハイエンドチップや従来の車載チップで豊富な経験と量産事例を持つチームがおり、アーキテクチャやエコシステム、技術開発、製造プロセスの面で知見と経験を有するため、中核となる独自技術を確立して各項目の検証を完了してきたという。
車載チップの開発競争において、顧客のニーズを把握していることは非常に大きな強みとなる。芯擎科技は吉利汽車や第一汽車などの自動車メーカーと緊密に連携し、提携パートナーにも多くの自動車部品メーカーが含まれているため、自動車メーカーのニーズを理解し、メーカーが本当に必要とする製品を提供することができている。
芯擎科技には300人以上の従業員が在籍しており、研究開発スタッフが85%以上を占める。同社の研究開発センターは北京市、上海市、武漢市に設けられている。
(翻訳・畠中裕子)
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