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「モバイルインターネットの次はWeb3というのが今後の大きな流れだ」。投資家や起業家の間ではこうした共通認識が醸成されているようだ。
「イグジットできる確率はこれまでのプロジェクトの20倍になる」「ひとつ大当たりすれば100倍のリターンも可能」などと語る投資家も少なくない。
一方で、この新しい分野の今後は誰にもわからない。ある投資家は、Web3のプロジェクトのうち95%は話にならないレベルとして警戒感を示す。
また別の投資家は「モバイルインターネットにはもう目新しさはない。別の投資先が必要だ」としながらも、「利回りが良いことを除けば今のところWeb3の価値はほとんど無いに等しい」と指摘した。
魅力的な利回りの良さとそれに伴うリスクを承知のうえで、ベンチャーキャピタルはWeb3を受け入れることを決め、早めに手を打ちたいと考えているようだ。
Web3に対するVCの姿勢
Web3のプロジェクトを選ぶ際にベンチャーキャピタルはいっそう慎重になる。その方法は例外なく、より確実性の高い分野、よりマーケットの環境にふさわしい対象を選ぶということだ。
華映資本(Meridian Capital China)の朱彤氏は「分野の偏りがないよう細かに調整して、可能な限りリスクを低減する。例えばインフラ層は欧米のプロジェクトに投資するなら、アプリケーション層の優先候補は日本や韓国、東南アジアの企業だ」と語る。同社は先ごろゲームとDeFi(分散型金融、ディーファイ)を組み合わせた「GameFi(ゲームファイ)」プラットフォームに投資した。朱彤氏は「このプロジェクトは産業では川上にあるので、GameFi単体のプロジェクトに投資することに比べるとリスクはやや低い。また、このプラットフォームからさらに多くのGameFiプロジェクトが生まれれば我々の投資にとっても有利に働く」とした。東南アジアの別の投資家は、NFT(非代替性トークン)やGameFi単体のプロジェクトに投資するつもりはなく、応用シナリオが明確なプロジェクトを選ぶとしたうえで、「必ずしも面白みがあるとは限らないが、結果は出やすいだろう」と語った。
投資のロジックはWeb3もWeb2.0とおおよそ似たようなものだ。
朱彤氏はまた、「Web3とWeb2.0への投資には共通するものがある。少なくとも投資ロジックにおいては、従来のベンチャーキャピタルと比べて様変わりすることはなく、単に前進するだけだ」とし、さらに「Web3の多くは純粋な技術駆動型ではなく、プロダクトや運営面によりスポットライトが当たっている。我々は投資先のマーケティング能力に大いに期待し、彼らにはすぐさまマーケット環境に対応する必要がある。そうすればライバルよりも大きな利益をあげることができる」と述べた。
Web3への投資が大きく異なっているのは、ベンチャーキャピタルがターゲットのプロジェクトを探す方法だ。Web3の時代には、プロジェクトの多くがTwitterやDiscord、Telegramといったソーシャルプラットフォームや技術フォーラムから誕生するという。
「プロジェクト獲得のルートはスムーズで、基本的にはWeb2.0への投資と変わるところはないが、従来型投資に比べるとやはりターゲットになる範囲は狭い」ため、「こちらからも能動的にインキュベート(創業、事業創出)プラットフォームと接触して、有望なものを探すことになるだろう」と朱氏は述べた。
こうしたやり方はWeb3ではすでに共通の認識になっている。米セコイア・キャピタルの暗号資産分野担当のパートナーMichelle Bailhe氏もTwitterアカウントを頼りにしており、フォローしているのは揃ってWeb3の投資や創業に関わる人物だ。
では、どのような投資家がWeb3への投資に興味を抱くのか、あるいはトークンファンドのリミテッド・パートナー(LP)になろうと思うのか。それは個人資産を運用するファミリーオフィスだと多くの投資家が口を揃える。
「ファミリーオフィスはみなWeb3を受け入れている。現状では、従来型ベンチャーキャピタルとトークンファンドのLP像の差は、政策に対する敏感さに起因する」と朱彤氏は指摘する。
Web3に投資したある人物は、多くのLPが個人投資家かファミリーオフィス所属だと気づいたと語る。また、Web3について彼に相談を持ち掛ける投資家や起業家は20~30歳もしくは40歳以上という二つの年齢層に分かれているという。同氏は「20~30歳の若者はオープンであることを望み、新たな技術を受け入れているが、もちろん取り残されることへの不安感も抱いている。40歳を超えた中年層は資金も時間もあり、精力的に研究を重ねてから新たな分野に投資する場合もある。しかし、投資の主力となる30~40歳のグループはまだ躊躇していたり、キャッシュを持ちながらも静観したりしている」と述べた。
原文:WeChat公式アカウント「投中網(ID:China-Venture)」、執筆・編集:胥崟濤
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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