中国EV「NIO」、バッテリーの仕入れ先拡大 低中価格帯ブランドのコスト削減に対応

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

中国EV「NIO」、バッテリーの仕入れ先拡大 低中価格帯ブランドのコスト削減に対応

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国新興電気自動車(EV)メーカー「蔚来汽車(NIO)」は、中価格帯の新ブランド「ALPS」の駆動用バッテリーを「中創新航(CALB)」、中国EV大手「比亜迪(BYD)」傘下の「弗迪電池(FinDreams Battery)」から仕入れるようだ。複数の情報筋が明らかにした。

消息筋の話では、NIOはさらに「億緯鋰能(EVE Energy)」、「蜂巣能源(SVOLT Energy )」などと接触しているという。これらの情報について36krはNIOに問い合わせたが、回答は得られなかった。

ALPSはミドルレンジのブランドで、価格は20~30万元(約400~600万円)、2024年に生産開始予定だ。NIOは平均価格が40万元(約800万円)以上でハイエンド車市場での足元を固めたが、市場規模が限定的であるためALPS、「蛍火虫(FY)」などの価格を抑えた新ブランドを立ち上げる。

駆動用バッテリーは新エネルギー車の総コストの40%程度を占めるが、上半期に原材料である炭酸リチウムの高騰後駆動用バッテリー価格も30%超上昇したため、新エネルギー車メーカーはバッテリーのコストに耐え切れなくなった。

自動車メーカーはコストをコントロールし価格交渉をより優位に進めるため、複数のバッテリーサプライヤーから仕入れるか自社でバッテリーを製造するようになった。NIOはこれまで中国のリチウムイオン電池最大手「CATL(寧徳時代)」からバッテリーを仕入れていたが、仕入れ先を増やすだけでなく自社生産の計画も打ち出している。李斌CEOは第1四半期のテレカンファレンスで、バッテリーを自社生産し2024年にALPSに搭載すると話している。

中国EVのNIO、新型電池セル「4680」とLMFP電池を開発 24年発売の新車種に搭載

ただ、業界関係者はNIOのバッテリー生産規模は大きくはないだろうと話している。そうなると、NIOは主にバッテリーメーカーからの仕入れに頼ることになる。

中創新航とCATLとの間に昨年7月に特許訴訟が発生し、現在も続いている。NIOの中創新航との提携にリスクはないのだろうか。これについて業界関係者は、中創新航とCATLの争っている特許は初期のバッテリー製品に集中しており、ALPSが採用予定の中創新航の新しいソリューションなどは問題ないだろうとの見方を示している。

最大手CATLのパイを切り崩すため、他社は利益を犠牲にしてでも低価格戦略で自動車メーカーのサプライチェーンに食い込もうとしている。典型的な例は中創新航で、同社の目論見書によると2021年の粗利益率はわずか5.5%だった。一方、CATLは26.28%に達している。

低価格戦略は功を奏し、中創新航は新興EVメーカーのうち「小鵬汽車(XPeng Motors)」のほか、NIOのALPSのサプライチェーンにも食い込んだ。

三元系電池分野の「欣旺達(SUNWODA、サンオーダ)」はこのほど、バッテリー事業のスピンオフを実施した。各自動車メーカーから受けた出資状況からすると、同事業は駆動用バッテリー市場のダークホースとなり得る。

中国車載電池業界の”ダークホース” サンオーダ(欣旺達)子会社、約1400億円の資金調達

ある業界関係者は「自動車メーカーが駆動用バッテリーメーカーに求めるのは、製品の品質が安定していることと、自動車メーカーが必要な時に製品を提供できることだ」と話す。

CATLはセルの不良率を10億分の1レベル、バッテリーパックの不良率は100万分の1レベルを目指しており、生産能力も業界最大だ。低価格で自動車メーカーのニーズに応えても、競争で鍵を握るのは製品、技術、品質、製造だ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録