手軽に血糖コントロール 中国ベンチャー、低GI値の食パン開発

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2021年創業の中国フードテック企業「深圳動態均衡健康科技」がシードラウンドで数千万元(数億円)を調達したことを公表した。浙江大学同窓会が設立した基金「藕舫天使」などが出資した。

深圳動態均衡健康科技は、「シルバーエコノミー」(高齢者に重点を置く経済活動)と健康分野に注力する。「慢糖家(slowgar)」というブランド名で、血糖値を気にする人のために摂取後の血糖値の上昇が緩やかな低GI(Glycemic Index、グライセミック・インデックス)食品やヘルスケアサービスを提供、アクティブシニアに向けた栄養と健康のデジタルプラットフォーム構築に取り組んでいる。

GIは食後血糖値の上昇度を表し、食物の血糖に対する影響を示す国際的にも認められた指標だ。低GI食品とは、GI値が55以下で血糖への影響が比較的小さい食品を指す。低糖質は食品が含む糖質の量が少ないか、もしくは糖質を含まないということだが、GIに影響を及ぼす要素は非常に多く、例えば小麦など消化吸収されやすい炭水化物を含むと、低糖質食品であっても血糖値の上昇を招く。一方、低GI食品は、胃腸の中に滞留する時間が長く、ゆっくり消化・吸収されるため、食後の血糖値の変化は比較的小さく、血糖値が安定しやすい。低GIの食事は糖尿病患者の血糖コントロールに役立ち、病状の進行を穏やかにしてくれることや、一般の消費者にとっても体重コントロールに役立つことが、国内外での多くの研究や実験により証明されている。

慢糖家の初の商品は低GIの食パンだ。通常はGI値が80を超える食パンをGI値約46に抑え、食感はそのままに糖質をコントロールする。

最初の商品に食パンを選び糖尿病患者向け朝食市場に参入したのには、いくつかの理由がある。創業者の黄笑CEOによると、まず、各種のホルモン分泌が不均衡なことから糖尿病患者が早朝に高血糖の状態になる「暁現象」の存在、次に中国人の食習慣として朝食では主食の占める割合が大きく、炭水化物が多めになり血糖値の上昇を招いてしまうこと、そして糖尿病患者が朝食に食パンを食べることに慣れており、約8割が血糖コントロールできる食品として食パンを望んでいるからだ。

共同創業者で製品責任者の李俊堃氏は「慢糖家は産学連携による研究で技術を磨いた。浙江大学や江南大学、華南理工大学の食品エンジニアリング学部と連携して技術開発を進め、研究成果を挙げた。経験豊富なパン職人とエンジニアが協力して改良を重ね、食パンの口当たりがよく機能も優れている。ユーザーのニーズに応えるため、平均年齢50歳の100人に商品アドバイザーになってもらい患者の立場から商品の改良について意見を出してもらった」と語る。

商品の生産と材料選択に当たっては、原料のデータベースに基づいてGI値計算予測モデルを作り、β-グルカン含有量が最も多いチベット産ハダカムギを主原料に、クワの葉からの抽出物を加えて血糖コントロールの効果を高め、輸入した食物繊維などを使用した。そのため、血糖コントロールの効果もあり、かつ風味よく仕上がったが、販売価格が高くなってしまった。200人以上の消費者によるテストでは、96%が血糖コントロールの効果と味を高く評価した。

マーケティングチャネルの開拓では、オンラインとオフラインを組み合わせた。黄笑CEOによると、ユーザーの購買習慣に基づいてECプラットフォームとミニプログラムを中心とするオンラインの販売チャネルと、大型小売店や病院、他業種との協力を中心にオフラインのチャネルを設定するという。

また今後の低GI食品市場の見通しについて黄CEOは、急拡大の時期が二度あると考えている。一度目は既存ユーザーからの需要で、現時点で血糖コントロールを必要とする糖尿病患者や高血糖の人を含むユーザーが、糖質ゼロ、低糖質、超低炭水化物の食品から低GI食品に切り替えるとき。二度目はターゲットユーザーの広がりだ。高血糖は糖尿病患者の問題であるだけでなく、フィットネスに励む人たちや肌の糖化防止に気を遣う人たちも低GI食品という選択肢に注目するだろう。健康に気を配る食習慣が広がるなか、低GI食品は潜在力の高い分野なのだ。

慢糖家の次の一手に関し黄CEOは、食品・ツール・サービスを組み合わせ、アクティブシニアを対象に的確で健康的な栄養プラットフォームを構築し、より行き届いた、より気軽な日常生活での血糖管理の実現をサポートしていきたいとした。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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