電動ローラースケート、次の移動ツールとして注目 中国「AIRTRICK」が量産化に成功

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ローラースケートは若者に人気の遊びだ。近年ではそのバリエーションが増え続けており、スマート化され、より利便性を高めた電動ローラースケートも登場し、新たなマーケットが開かれている。

2019年に設立された「AIRTRICK」も電動ローラースケートで市場に参入し、持ち運びができるモビリリティツールを作り出すことを目指している。同社初の製品は8月に米国のクラウドファンディングサイト「INDIEGOGO」でリリースされた。

AIRTRICKの栄嘉洛CEOは、電動ローラースケート自体は真新しいものではなく、何年も前から複数の海外の企業が開発してきたが、製造コストの面から量産化に成功してきた事例はないと紹介する。しかし中国には低価格を実現できる強大なサプライチェーンがあり、この問題をクリアできたという。

短距離移動や娯楽目的で使われる電動モビリティツールは主に電動スケートボード、電動キックボード、電動立ち乗り二輪車などがある。こうしたモビリティツールは昨年、世界市場で合計約500億元(約1兆円)分が出荷された。最大の供給国は中国だ。米コンサル企業マッキンゼー&カンパニーは、世界の電動キックボード市場は10年以内に3000億〜5000億ドル(約43兆3200億〜72兆2000億円)規模になると予想している。

栄CEOによると、短距離移動や娯楽を目的とするこうした電動モビリティツールの中で、電動ローラースケートは新たなカテゴリーとして登場したが、開発・生産を手がける企業は非常に少なく、まさにブルーオーシャンだという。世界中のターゲットユーザーを分析したデータをまとめると、電動ローラースケートの出荷数は将来的に年1000万足を超え、市場規模は200億元(約4000億円)以上になる見込みだ。

AIRTRICKの電動ローラースケートはホイールが2列に4輪が配置され、コンパクトな軽量設計だ。片足の重さは1.5キロで着脱も素早くでき、収納にも便利で使い方も簡単にマスターできる。走行スピードは4段階で調節でき、最高時速は28キロ、航続距離は15キロだ。同類の他社製品と比較するとコストパフォーマンスにも優れる。これまでに米国のクラウドファンディングサイトで発表されてきた製品を見ると、いずれもAIRTRICKよりも大きくて重く、価格も高かったため、最終的には量産に至っていない。

AIRTRICKの電動ローラースケート(インタビュイー提供)

AIRTRICKは今年まず海外市場で商品展開し、海外のSNSや動画サイトなど、オンラインで多角的なプロモーションを行っている。8月にINDIEGOGOでリリースされた初の製品は、これまでに約1200足、合計35万ドル(約5000万円)分を売り上げている。今後は独立系ECサイトやアマゾンでも販売していくという。

2023年にはローラースケート場の開業を計画中だ。商品を販売するほか、時間貸しのスケート場、レッスンなどを集約した施設で、世界でフランチャイズ展開していくという。

AIRTRICKの電動ローラースケート

AIRTRICKのサプライチェーンは主に中国国内にあり、80%のサプライヤーが広東省深圳市とその周辺にある。質とコストパフォーマンスが高く効率的な中国のサプライチェーンは、AIRTRICKの製品が世界市場を開拓するにあたって心強い後ろ盾となっているのだ。商品開発でも絶え間なくブラッシュアップを続けており、AIRTRICKではすでに20件以上の中核特許および基本特許を出願済みで、その後も新たな特許の出願を続けている。

AIRTRICKは専用のアプリも提供しており、アプリと製品をIoTでつなぎ、製品データを統計・表示している。アプリはコンテンツ共有プラットフォームの役目も持ち、ユーザーは写真や動画を投稿しあってコミュニティを形成していく。アプリ内にはオンラインモールもあり、カスタマイズ用の全パーツを取り扱っている。

現在は500万元(約1億円)の調達を計画中で、調達資金の70%を製品開発と生産に、30%を人材拡充やマーケティング、知的財産権に充てる予定だという。

(翻訳・山下にか)

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