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産業調査レポート大手「中国報告網(chinabaogao.com)」によると、中国では職業教育(資格スクール)市場が、K12(幼稚園年長から小中高の12年間)教育に次ぐ大きな市場となっており、学校と資格スクールの運営企業が手を組むケースが増えているという。しかし、需要に対し講師が不足している。品質やレベルなどにも差があり、今後の状況改善が期待されている。
資格スクールの「CU賽優」を展開する「北京賽優職教育科技(SAIYOU)」は、2014年に設立された資格取得講座や技能研修を手掛ける教育関連企業だ。ライブ事業、録画授業、試験問題をオンラインで提供する受講コースを柱としてに事業モデルを確立。設立2年目で売上高2000万元(約3億3000万円)を達成した。続いて同社が目を付けたのは、以下2方面での拡大だった。
■カバーエリアの拡大:一級、二級都市にオフラインの体験店舗を開設。創業者の張東東氏は「オンライン校だけでは規模感に欠ける。ユーザーの気持ちを動かすためには、大きなブランド力が必要。オフライン施設が、オンライン校の周知とブランド構築を後押しする。オフライン校では、ユーザーがオンライン講義や試験を実際に体験できる。さらに、入学申し込みやカウンセリングなどの対面式サービスを提供することにより、入会者獲得の効率はオンライン校だけの頃と比べ50%アップした」と語る。
■受講コースの拡大:開講当初は教師資格の取得コースのみだったが、旅行ガイド・会計などのコースを増設。教師養成コースの運営をひな形として、他カリキュラムでも同様の運営を行った結果、3年間連続で前年比売上高100%増の高成長となった。
講義の品質と運営効率を上げるため、同社は「講師のライバー(ライブ配信者)化」と「スマートアシスタント」という2つの戦略を立てた。
・講師のカリスマ性は、受講生を途中で挫折させることなく履修を完了させる重要な要素のひとつである。そのため、講師を採用する時には容姿と話術を重視している。以前より、資格関連の講師は年配者が多いため、受講生とのコミュニケーションに齟齬を生じる、考え方が合わないといった問題を抱えがちであった。教え方も固定化しているケースが多い。しかし、ライバー的な視点を持てる講師は、講義中に受講生の反応をよく見て、フレキシブルに教え方を変更できる。こうした講師は受講生の出席率を上げ、コースからの脱落を防止できる。さらに資格試験の合格率も引き上げる。
・成人向け教育の最大の特徴は、受講生の受講時間と居住地がバラバラなことだ。受講生は各地から集まり、入学時のレベルや受講時間帯、あるいは手持ちの教材も不揃いだ。これでは、教育機関が効率よく運営することは難しい。カスタマーセンターで多くの人材を雇って個別に何度も連絡事項を伝達する必要があった。
CU賽優は、自社開発したオンラインシステムでこの問題を解決することに成功。個人情報、資格コースおよび受講履歴などを管理し、受講者の携帯電話番号やWeChat(微信)アカウントを紐づけした。WeChat公式アカウントを通じて、開講案内、受講受付、成績表確認、受講リマインドなどを行う。このシステムの導入によりユーザーが抱えている問題の90%が解決でき、教務補助のコストも削減できる。2017年は有料ユーザー2万人に対し、わずか10人のカスタマーサービス人員で十分だったという。
同社のもう一つの強みは、法人向け事業である。昨年11月に中国教育部が公布した「健全な学校外教育機関管理に係る若干の業務枠組みの通知」で、教育機関に講師の資格証書の提示を求めるようになったため、資格を保有する講師の需要が激増した。こういった状況で、同社は法人向けに教育ニーズの掘り起こしをおこない各教育機関向けのカスタマイズ研修を提供している。
CU賽優は、2018年までに有料ユーザーが累計3万6000人となり、同年の売り上げは1億元(約16億5000万円)を超えた。創業者の張東東氏は、この10年間で2社を創業した経歴をもつ。
(翻訳:貴美華)
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