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トラック向け自動運転技術を開発する「TuSimple(図森未来)」が、米連邦捜査局(FBI)、米証券取引委員会(SEC)、対米外国投資委員会(CFIUS)の調査を受けていることがわかった。TuSimpleの共同創業者の1人、陳黙氏が立ち上げた燃料電池トラックメーカー「Hydron」との関係などについて調べを進めているという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが先月30日付(現地時間、以下同)で報じた。
関係者によると、FBIとSECの調査メンバーは現在、侯暁迪CEOをはじめとしたTuSimpleの経営陣が両社の関係について適切に開示していなかったことが善管注意義務違反や証券法違反に該当するかどうかを調べている。また、TuSimpleが米国で開発した知的財産権をHydronと共有し、こうした行為を通じて海外の競合企業に価値ある技術を提供し、結果的にTuSimpleの出資者を欺いた可能性についても調査中だ。
調査に際してTuSimpleは先月31日付で声明を発表。侯氏をCEOやCOOなどの役職から解任したと発表した。取締役会の調査によると、TuSimpleの一部従業員がHydronで就業した実態があり、彼らが秘密保持契約締結前にHydronに機密情報を提供したという。
現在、TuSimpleでは業務担当執行副社長のErsin Yumer氏が暫定CEO兼総裁を務め、新たにCEOを選定中だ。また、筆頭社外取締役のBrad Buss氏が会長に就任した。
「侯暁迪氏がこれまでTuSimpleに対して果たした多大な貢献に感謝したい。同氏が持つ知識や先見の明は、TuSimpleが業界最先端の技術を育み、また事業を成長させるにあたり、かけがえのないものだった。我々の次の成長に向け、Ersin氏が社を率いることに同意してくれたことも喜ばしく思っている」とBrad Buss新会長は述べた。続けて「透明性、優れた判断力と責任感は、弊社にとっての重要な価値観であり、我々はこれを非常に重視している」とした。
情報公開後、TuSimpleの株価は4.2ドル(約612円)から45%下落して3.4ドル(約495円)になった。
一方、侯氏はSNSを通じて社の発表に疑問を呈した。取締役会によるいわれのない解任はその過程においても決定内容においても疑義があるとし、自身が指摘された不当行為も否定している。
同氏の投稿には「わたしの経営スタイルは時に厳しすぎたかもしれないが、これは自動運転そのものが多くの挑戦を強いられる使命であり、絶え間ない努力を必要とするからだ。貢献を惜しまぬあなたがたの精神に、わたしは頭が下がる思いだ。ただ残念なことに、我々が共に尽くしてきた努力、共に払ってきた犠牲は、自動運転技術の複雑さを知らない人々には理解のしようがないということだ。我々が共に追い求めてきた夢が政治に阻まれることは、極めて不公平な事だ」とも綴られている。
侯氏は2015年に陳黙氏と共同でTuSimpleを創業し、無人運転トラックのソリューションを開発してきた。これまでに中国大手インターネットサービス新浪(Sina)、米半導体メーカーNVIDIA(エヌビディア)、米運送大手UPS、韓国自動車部品大手Mandoなどから出資を受けている。
21年4月には自動運転関連企業として初めて米ナスダック市場に上場し、13億5000万ドル(約2000億円)を調達。時価総額は一時84億9000万ドル(約1兆2400億円)に達した。しかしその後は米国当局の厳しい管理の下、1年にわたる調査が実施され、中国の子会社からのデータアクセスを制限することで米政府と合意している。
共同創業者の陳黙氏が会長職を辞任し、引き続き取締役として留任してからは、侯氏が会長とCEOを兼任してきた。陳氏は今年6月にレベル4の自動運転性能を備えた燃料電池トラックを開発・設計・製造するHydronを立ち上げた。しかし、陳氏の2社の創業者としての立場が、米国の関連機関が調査を開始するきっかけとなった。
TuSimpleが先月31日付で発表した2022年7〜9月期決算によると、同社の売上高は前年同期比2%増の270万ドル(約3億9300万円)だった。
11月11日Update情報
中国の金融・ビジネスニュースメディア界面新聞(Jiemian)の最新の報道によると、TuSimpleは11日付で再び4人の取締役を解雇し、CEOを解任されたばかりの侯氏1人が取締役会の職務を続けると発表した。侯氏は同社唯一の取締役として、暫定CEO兼総裁に就任したばかりのErsin Yumer氏を解任したという。
さらに、過去にCEOを務めていた呂程氏を新CEOに任命したと発表。さらに共同創業者の陳氏が再び会長に就任するという。2人はこれまでも管理職としてTuSimpleに在籍していたが、今年3月に退社していた。
(翻訳・山下にか)
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