中国自動運転ユニコーン「Pony.ai」が複数部門を縮小、米研究センターの幹部も離職相次ぐ

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中国と米国で自動運転事業を展開するユニコーン企業「小馬智行(Pony.ai)」が事業再編の調整を進めている。36Krが関係者を独自に取材してわかった。同社はインフラストラクチャーおよびデータ(Infrastructure & Data)部門を縮小し、傘下の上海データ部はすでに解散した。マップなどの部門も調整の対象で、ある社員は今後対象範囲がさらに拡大するとの見方を示した。

インフラストラクチャーおよびデータ部門は現段階では重要だが中核部門ではない。主に自動運転システム開発のためのツールやサービスを提供する。例えばシミュレーションやデータマイニングのプラットフォーム、データアノテーションシステムなどだ。ある従業員によると同部門は2019年に設立され、当初は社内外へサービスを提供して売り上げを出す予定だったが、実現に至らなかったと話す。このほか、米国にある小馬智行の研究開発センターも以前は100人程度在籍していたがこの1年近くですでに半数になった。退社したメンバーにはカリフォルニア州研究開発センターのインフラストラクチャーおよびデータ部門の責任者Kelvin氏やマップ部門責任者の馮一也氏なども含まれる。

今回の事業再編は、11月1日に小馬智行の彭軍CEOが全社員に宛てたメールと関係があるかもしれない。メールでは「今後2、3年以内にロボトラック(自動運転トラック)とPOV(Personally owned vehicles。メディアの報道では小馬智行の自動運転レベルL2++のプロジェクトとされている) には大規模なニーズが生まれ、ロボタクシー(自動運転タクシー)の大規模な事業化は5年以内に実現すると確信しているが、その前に事業効率を上げて我々が最良の状態で市場の変化に対応できるようにしなければならない」と綴っている。

小馬智行は、中国IT大手バイドゥ(百度)米国法人で自動運転開発の主任アーキテクトを務めた彭軍氏と「中国のプログラミング第一人者」楼天城氏が共同で2016年に設立した。高い技術力により中国の自動運転企業で一気に最高の評価額(85億ドル、約1兆2000億円)を達成し、セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)、IDGキャピタル、トヨタ、中国自動車大手「第一汽車集団(FAW)」などからこれまでに11億ドル(約1500億円)以上調達した。

しかし、技術の商業化で苦戦している。小馬智行はロボタクシー路線を採る自動運転業界では典型的な企業で、技術が人の運転を代替することを目指している。これに対抗するのがテスラに代表される運転支援路線の企業で、システムは運転支援から始め、改善を重ねている。

2つの路線は2年前には拮抗していたが今やテスラは世界で年間100万台を売り上げ、業界は大きく変化した。人の運転を完全に代替する路線では最適なビジネスモデルが見つからず、投資家を魅了できていない。自動運転は5年、10年では実現できないという悲観的な見方も業界にある。

フォード、フォルクスワーゲンの大手2社が出資する自動運転技術開発企業「Argo AI」がこのほど、事業を停止した。同じく自動運転技術を開発する「Aurora」は人員削減、役員報酬の削減、資産売却などを進め、ひいては会社をアップル、マイクロソフトなど潤沢な現金を保有するIT大手への売却を検討している。

小馬智行はロボタクシー以外で事業化を模索しはじめた。今年に入ってから複数の自動車メーカーと接触し、運転支援関連のサプライヤーへ転身する可能性を探っている。また関係者によると、L2++プロジェクトが1年半の努力を経て事業化に一定の進展を見せ、NVIDIAのチップ「Orin」を搭載した車載用ドメインコントローラーが大規模な路上テストとユーザーへの配布を完了し、ソフトウェア、ハードウェアともに量産の注文を獲得した。

このほか、大型自動運転トラックであるロボトラックにも重点を移している。今月1日には物流大手「中国外運(Sinotrans)」、重機大手「三一集団(SANY Group)」との提携を発表。3社が提携してスマート物流で重要な「技術+車両+シーン」を押さえるとした。小馬智行は第1陣として30台のスマートトラックを納車している。

(翻訳・36Kr Japan編集)

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