運転席のない「宇通」の自動運転バスが運行開始

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先日、中国大手バスメーカー「宇通集団(Yutong Bus)」が5Gスマート路線バスプロジェクトを始動させた。同社は高度な自動運転を行うレベル4の自動運転バス「小宇」を開発、このバス4台が河南省鄭州市新区にある「智慧島(Intelligence island)」の循環ルートで試運転を開始した。ルートは全長1.53キロメートル。

この自動運転バスは、車線を仕切る防護柵なしで自動走行できる。スピードは時速20キロメートルほど、航続距離は一度の充電で200キロメートル(エアコン使用時)で、車内には運転席もハンドルもなく、シートが8席あるだけだ。安全スタッフと解説スタッフが1人ずつ乗車しており、緊急時には安全スタッフが「緊急停車ボタン」を押して危険を回避する。

自動運転バスの乗り降り時のイメージ図(図虫提供)

宇通の公式情報によると、この自動運転バスは車線変更、障害物回避、追い越し、バス停での停車、緊急ブレーキ、交差点通行などが可能だという。

今後は周囲の公園に観光タイプの自動運転バスを4台投入し、さらに龍子湖の外周(全長9.4キロメートル)までルートを拡大する計画だという。

宇通によれば、「中国聯通(China Unicom)」や「中国移動(China Mobile)」との提携により、智慧島内では全エリアで5G通信が可能だという。そして自動運転車両専用車線に通信技術「V2X」を導入し、遠隔監視や信号誘導などが行えるようにした。さらに自動運転クラウドプラットフォームを独自開発し、3D高精度地図の作成や道路・車両のリアルタイムモニタリングなどを行っている。

実際に試乗してみたところ、前方20~30メートルで歩行者や車両が黄色の車線内に進入した際、自動運転バスの緊急ブレーキが作動した。シートベルトを締めていないと、前の座席にぶつかってしまいそうになる。

5G通信対応による自動運転バスの高性能化のイメージ写真(図虫提供)

車間距離の設定が長すぎるのではないかとの問いに、宇通智能網聯研究院の彭能岭副院長は次のように述べた。「人は周囲の車両の行動を予測できる。すれ違う車が突然、方向転換して自分に向かってくることはないと私たちは分かっているが、今の自動運転レベル4にはそれができない。そのため安全ラインを高く保ち、効率より安全重視で運行している」

2019年3月に同社のレベル4自動運転バスは、中国海南島で開かれた「ボアオ・アジア・フォーラム」で半開放エリアでの試運転を行った。宇通によれば、自動運転バスで国内外の貴賓ら200人以上をもてなしたという。
(翻訳・畠中裕子)

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