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公共交通機関や商業施設などで授乳・おむつ替えスペースを提供する「瑪瑪応智能科技(mamain)」が、エンジェルラウンドで約1000万元(約1億6000万円)を調達した。調達した資金は商品アップグレードや組織構築に充てる。
わずか2平方メートルのスペースに授乳用チェア、おむつ交換台、手荷物収納棚、ゴミ箱などを備え、空調も完備した授乳・おむつ替えスペースは、昨年4月から設置をはじめた。医療機関や駅、商業施設など100カ所に設置しており、1カ所あたり1日の平均利用者数は15人だという。利用者は専用のミニプログラムを使って施錠を解除し、入室できる仕組みだ。
創業者兼CEOの林立森氏は、「中国国内では赤ちゃん連れの女性が必要とする設備の設置が非常に後れている。ただ、授乳室やおむつ替えスペースを新設したり、改装したりするにはコストがかかる。それでも、ユーザーや政策上の強い需要から、誰かが手がけなければならない」と述べる。
赤ちゃん連れ向けスペースの設置は需要の1%以下
赤ちゃん連れで外出するには、出先に授乳やおむつ替えのできるスペースがあることが必須だ。
中国政府もこうしたスペースの普及を後押ししている。2016年11月、国家衛生健康委員会など10部門が共同で「建築面積1万平方メートル以上で、1日の来客数が1万人を超える交通機関ターミナル、商業施設、医療機関、観光施設、娯楽施設などで、常時赤ちゃん連れの利用がある施設については、授乳・おむつ替えスペースを設置すること。2020年末時点で対象の全施設で設置が完了することを目指す」と発表した。
しかし、現実には普及は遅々として進んでいない。あるデータによると、全国の対象施設で「赤ちゃん連れ向けスペースを設置済み」の施設は15%ほどに留まっている。中国の地図アプリ「高徳地図(amap.com)」に登録された該当施設は2643カ所だ。反面、中国国内で昨年に誕生した新生児は1523万人。50人の赤ちゃんで一つの施設を共有すると考えると、全国には少なくとも30万カ所の施設が必要だ。
30万の需要に対して3000カ所以下しかない授乳・おむつ替えスペースだが、無論、数が多ければ問題が解決するわけではない。現状では多くのスペースが公衆トイレの一角に設けられたものであり、とても快適な空間とは言えない。
赤ちゃん用品メーカーにとって宣伝の機会に
中国から見ると、日本はこうした設備が比較的整った国だという。mamainが提供する移動式の箱型スペースはもともと、日本で2017年ごろから普及しはじめたものだ。場所も取らず、コストもかからないうえ、使い勝手や快適さが均質化できる。プライバシーを守れるスペースは、赤ちゃん連れの父親にとっても利用しやすい。従来型の授乳スペースは男性の入室が禁じられているケースが少なくないからだ。
しかし、授乳・おむつ替えスペースを設置するには、賃料や設置費用も含めて一般的におよそ30万元(約470万円)のコストがかかる。設置後に設備自体が収益を生むこともない。mamainの商品は、2平方メートルのスペースを提供してもらう代わりに、設備を無償で提供している。清掃などのメンテナンスは入居する施設のスタッフが行うこともあり、平均して2カ月ほどで初期費用を回収できているという。
スペース内にはAI音声アシスタントや広告放映用のディスプレイが設置されるほか、紙おむつやおしりふきなども提供しており、関連メーカーにとって新たな顧客獲得の場となっている。
年内に3000カ所新設が目標
ママ・ベビー向け用品やサービスの市場は3兆元(約47兆円)規模である一方、ユーザーの入れ替わりが激しいという側面も持つ。長くて3年、赤ちゃんが育ってしまえば自然とユーザーは離れていく。ユーザーの世代交代が頻繁で、彼らと繫がるための媒体一つをとっても、ウェブサイトからアプリ、ミニプログラムと短期間に変遷している。
また、同市場はオフラインでの流通が主流で、全体の77%を占める。赤ちゃんを育てる母親は口コミや質、体験を重視するからだ。一方で、オフライン展開には一定規模のリソースが必要で、チャネルも分散しており、地域性の縛りも強い。全国に200店舗を展開し、年間売上高が20億元(約310億円)を超える小売大手「愛嬰室(babemax)」でも、市場シェアが1%という状態だ。それに比べ、mamainは業態が身軽で、迅速な拡大も可能だ。今年は3000カ所への設置を目標としている。
(翻訳・愛玉)
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