EV充電をストレスフリーにする「EC動力」、テスラや物流大手にも対応

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電気自動車(EV)の普及が進む一方で、充電設備の成長が滞っている。カーオーナーが自宅に充電設備を持てない場合は、充電のたびにスタンドを探し、充電が終わるまでの待ち時間を浪費することになる。また、見つけた充電スタンドが所有のEVに対応していない場合もある。

「EC動力」は、S2B2C(供給者→企業→消費者)モデルで充電設備網を敷設し、ドライバーに最寄りの充電スタンドを案内したり、充電の出張サービスをしたりするなど、利用者にとって費用や時間の面で効率的なソリューションを実現している。

創業者兼CEOの張天浩氏によると、充電サービス事業の成長を妨げる障壁は現段階で2つある。

1)立地が便利であり、なおかつ十分な電力量を供給できる条件を備えた場所は各都市で限られており、容易に増設・拡充できるものではない。

2)充電設備の利用効率向上が難しい。充電スタンドの敷設が始まった時期には、運営の質を考慮せず、とにかく数を増やすことが重視されたため、結果的に利用率が上がらないという状況を招いている。大手不動産デベロッパー傘下の「恒大研究院(EVERGRANDE RESEARCH INSTITUTE)」の計算によると、2018年3月時点で、全国の充電スタンドの設備利用率はわずか4%だ。収益化が難しいため、充電設備事業は拡大が見込めない状況だ。

充電設備に関連する既存事業は、主に利用者向けの情報共有・マッチングサービスか、運営企業向けの設備敷設・運営サービスに二分される。EC動力はその両方をかけ合わせた事業スキームを構築している。

S2B(供給事業者→運営事業者)の部分に関しては、まずはサプライチェーンネットワークから取りこぼされた運営事業者をすくい上げ、ビッグデータを活用したプラットフォームによって、供給事業者と運営事業者の電力需給をマッチングしていく。それにより、個々の充電ニーズに応じた供給が実現できるだけでなく、不規則に発生する需要をとりまとめて供給効率を上げることができる。

同社の運営モデルは、フロントエンド、データ管理サービス、バックエンドの3部分から成る。

■フロントエンド:自社開発した移動式電力貯蔵設備を用い、充電の出張サービスを行っている。充電スタンドとは異なり、立地に縛られないサービスを広範囲に展開できる。利用者は充電したい時に、充電したい場所でサービスが受けられる。この価値は利用料だけでは測れない。

■データ管理サービス:ビッグデータに対応するインテリジェントアルゴリズムを用いたディスパッチ機能によって、充電・放電の配分を最適化し、需給バランスを調整する。例えば、出張サービス用の移動式電力貯蔵設備が充電を行う時間帯や場所を判断したり、利用会員に対して充電サービスの「相乗り」を提案したりする。この「相乗り」サービスは、ある会員が充電を行う際に、同じ走行ルート上で需要がありそうな他の利用会員を集めて充電の効率を上げる仕組み。それぞれの利用会員の位置情報やバッテリー残量、1日の平均走行距離などを多角的に把握し、需要を割り出せるために実現するサービスだ。

■バックエンド:充電スタンドの運営事業者にソフトウェア・ハードウェアの両面で支援を行い、設備のネットワーク化を行う。自社開発のスマートコントローラーやクラウド対応アプリケーション、組み込みアプリケーションを導入してもらい、各設備をクラウドで管理していく。また、商用車を対象とした充電サービスにも対応していく。商用車は稼働時間帯と遊休時間帯が固定化している場合が多いため、異なる業種や事業体を対象に、それぞれの状況に合った利用時間帯や利用場所を効率的に配分することができる。

張CEOによると、この事業スキームはすでに北京で実行に移されている。出張サービス用の車両はすでに5台導入され、近く他都市でも展開する予定だ。個人利用者向けには北京の一部エリアで試験営業が行われており、テスラや蔚来汽車(NIO)製の車両に対応している。また、今冬にも「京東物流(JD Logistics)」「順豊速運(SFエクスプレス)」の物流2社への充電サービス提供を開始する。
(翻訳・愛玉)

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