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中国の若者の間で、自国ブランドや国産製品への愛着が高まっている。服飾品を中心に、あえて国産を選ぶことが一つのトレンドになりつつある。
2017年、中国国務院が5月10日を「中国品牌日(CHINA BRAND DAY)」に定めてから、こうしたブームはECを中心に加速した。
ブームの後押しを受けて大躍進を果たした中国ブランドの代表格が、スポーツファッションを手がける「LI-NING(李寧)」だ。2018年秋冬シーズンには、ニューヨークファッションウィークへの初出展も果たしている。同様に、レトロデザインが再評価されたキャンバススニーカーブランドの「飛躍(Feiyue)」や「回力(WARRIOR)」、スキンケアブランド「百雀羚(PECHOIN)」などが人気KOL(Key Opinion Leader、インフルエンサー)の一大プッシュを受けて脚光を浴びている。
反対に、最近になって苦戦を強いられているのが外資系ファストファッションブランドだ。米「Forever21」は、中国の大手EC「天猫(Tmall)」や「京東商城(JD.com)」から旗艦店を撤退させている。
わずか3~4年前には一部の愛好家しか支持していなかった中国ブランドが、未曽有の好景気に湧いている。
中国製品が変わった
前出のLI-NINGが、中国のスポーツ系ブランドとして初めて2018年のニューヨークファッションウィークに登場した際、「悟道(真理を悟る)」をコンセプトに展開した商品シリーズは、中国国内の各ECサイトで売り切れが続出するほどの人気となった。消費者に対し、中国ブランドの力量を大きくアピールする現象だったと言える。
LI-NINGの成功を機に、多くの国内ブランドに消費者の注目が集まった。オンラインセレクトショップ「有貨(YOHO!)」は中国ブランドブームを後押しするプロジェクトを展開し、多くの商品を発掘して売り出している。
昨年の中国品牌日には、各ECがこぞって国内ブランドの服飾品を取り上げたが、今年は取扱い品目の範囲がさらに拡大し、ユニークなコラボ商品が多数登場した。ローカル飲食チェーン「周黒鴨(ZHOU HEI YA)」のイメージキャラクターがあしらわれたコスメセットや、製薬メーカー「雲南白薬(YUNNAN BAIYAO)」のコラボバッグ、ミルクキャンディ「大白兔奶糖(White Rabbit Candy)」の香りを再現したフレグランスなど、欧米式のデザインに中国風レトロのテイストをプラスした商品や、新興ブランドと老舗ブランドの提携企画など、異色のミクスチャーが次々と誕生した。
90年代生まれの若者は、父母世代がこうしたブランドに親しんだのを見聞きして育っている。現代に合ったテイストにリデザインされたそれらの商品にいち早く注目したのは彼らだ。そして、SNSを通じて大きく拡散した。6月初めの時点で、中国版ツイッター「微博(Weibo)」における「#国潮来了(国産製品のブームが来た)」のハッシュタグが付された投稿の閲覧数は累計21億回となっている。
中国ブランドを後押ししたもの
こうしたブームの背後にあるのは、1)若者の消費観念の変化(コストパフォーマンスを重視する傾向)、2)新興メディアでの拡散、3)ブランドのアップグレード、デザインや品質の改善の3要素だ。
家電量販大手「蘇寧易購(Suning)」が今年になって発表した「中国製品消費データ報告」によると、中国ブランドを購入するのは主に90年代生まれの世代で、全体の35.64%を占めている。1995年生まれのある若者は、「国産ブランドの商品はデザインも見栄えがする上に、安い。国産を買わない理由はない」と話す。デザインや品質が及第点なら、あとはコストパフォーマンスが重要な意思決定ポイントということだ。
海外ブランド人気が一段落し、大手ブランドはもはや、ネームバリューだけでは消費者を惹きつけられない時代になった。
国営新華社通信の傘下にある中経社(CFC)、中国伝媒大学(CUC)、京東大数據研究院(JD BIG DATA RESEARCH INSTITUTE)が共同で発表した「2019“新国貨”消費趨勢報告」では、昨年にECの新規ユーザーが注文した商品の約90%は中国製品だったという。品目別では服飾品や食品に集中しており、中間層以上で中国製品の購買が伸び続けている。
こうした躍進の裏には、ECプラットフォームをはじめとしる新興メディアを通じたマーケティングの成果が見られる。多くの中国ブランドが「第二のLI-NING」を目指しているが、仮に海外人気に火が着くことはなくても、SNSを通じて従来メディアの広告費用よりずっと低額で国内での知名度を上げることはできる。
特に、微博やTikTok、動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」、ソーシャルEC「小紅書(RED)」などソーシャル機能を持つコンテンツプラットフォームは、重要なマーケティングの場だ。中でも化粧品は、こうしたプラットフォームで活躍するKOLがブームの火付け役となった。小紅書を覗いてみると、飛躍製のキャンバススニーカーをレコメンドする投稿が3万件以上も見つかる。多額の広告予算を割けない多くの中国ブランドでも、こうしたプラットフォームで商機を見出せるのだ。
眠れる老舗ブランドが再び脚光を浴びた後、有力な新興ブランドが登場して後に続けるだろうか。
(翻訳・愛玉)
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