中国、ライブコマースで不動産売買。ショート動画「快手」、22年のGMVは約2000億円達成

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中国でライブコマースを利用した不動産販売が始まってから約3年。昨年本格的に不動産事業に参入したショート動画プラットフォーム大手「快手(Kuaishou)」が初年度の業績を公開した。

同社の2022年の不動産事業総取引額(GTV)は100億元(約1950億円)を超えた。事情に詳しい関係者によると「快手の不動産事業は昨年軌道に乗ったと言え、今後はさらに力を入れていく計画だ」という。

快手は2019年からライブコマースを通してオフラインの不動産販売を拡大するという方式を模索してきた。不動産は大きな買い物であり、購入に至るまでの時間も長い。化粧品やアパレル、食品などの消耗品と比べると、ライブコマースでの販売難度はより高いといえるだろう。

公開情報によると快手は昨年、不動産事業センターを設立している。「理想家」というプラットフォームを打ち出し、物件紹介のショート動画やライブコマースから販売取引、手数料の精算に至るまで不動産販売一連の取引プロセスを構築したと発表。現在すでに吉林省長春市、天津市、遼寧省瀋陽市など数十都市をカバーしているという。

快手理想家が昨年7月に公開したデータによると、不動産関連ではそれまでの1年間でフォロワー1万人を超えるアカウントが40.2%増加しており、不動産関連ワードの検索回数は1カ月で3億8700万回を超えたという。

また昨年末に行った不動産販売イベント「快手購房節」には600万人近くが参加、GTVは1カ月間で38億8000万元(約756億円)に達し、3270件の物件が売れた。45都市以上で取引が成立したという。中でも山東省臨沂市と天津市での取引額はそれぞれ3億元(約58億円)を突破した。同イベントの取引額上位6都市は臨沂市、天津市、広東省恵州市、山東省浜州市、青島市、長春市だった。

2021年6月に同様のイベントを開催した際には、販売した物件は257件、GTVは2億8500万元(約56億円)に過ぎなかった。昨年、快手の不動産事業はどの都市でも「大躍進」を遂げたといえるだろう。

快手が不動産事業に乗り出した2019年頃にはIT大手のアリババ、京東集団(JDドットコム)、小売大手「蘇寧易購(Suning.com)」なども不動産取引に参入している。20年には不動産販売とライブコマースの組み合わせがより多くの可能性を生み出した。人気インフルエンサー薇婭(viya)や人気女優の劉濤氏を初めとする多くの有名人も不動産のライブ販売を試みたことがある。

中国版TikTokの「抖音(Douyin)」を手掛けるバイトダンス(字節跳動)も不動産には早くから力を入れていた。報道によると、同社が19年に買収し21年にスピンオフした不動産総合情報プラットフォーム「幸福里」はオンライン不動産販売大手「貝殻找房(KE Holdings)」をベンチマークとしていたという。貝殻側も幸福里をライバル視していたが、幸福里は現時点までに中古・新築不動産市場で目立った動きを見せていない。

ショート動画プラットフォームが不動産事業に参入するのは容易ではないことがわかる。

現在も抖音内で物件の宣伝を行う不動産事業者は多いが、抖音側は会社としてライブコマースでの不動産販売や、関連イベントの企画・支援等は行っていない。このほか抖音はオンライン内装サービスの「住小幇」とリフォーム事業「住好家」を手掛けているが、どちらも重点を置いているのはリフォーム事業だ。

抖音に比べると、快手の不動産事業への力の入れようは明らかだ。昨年10月には「小麦計劃」というプロジェクトを打ち出した。快手理想家がまだカバーしていない都市の不動産コンテンツ制作者を対象に、一定の条件を満たせば毎月1億以上のアクセス量を振り分けるなど特別なサポートをするものだ。

ライブコマースで不動産を販売するプラットフォームとして将来的にはトップを目指したい快手だが、現在の規模では貝殻のような大手とはかなりの差がある。不動産販売はGTVが多ければいいわけではなく、販売後の問題も多い。例えば、消費者と配信者の間で取引が成立した後にプラットフォームとしてアフターサービスに介入すべきかどうか等の問題だ。

不動産のライブ販売はまだ始まったばかりと言えるだろう。

(翻訳・山口幸子)

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