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細胞培養牛肉を手掛ける中国スタートアップ企業の「極麋生物(Hangzhou Jimi Biotechnology)」が、このほどエンジェル+ラウンドで十維資本から1000万元(約1億9000万円)規模の資金を調達したことがわかった。昨年11月には「梅花創投(Plum Ventures)」「番茄資本」などから出資を受けており、4カ月間で2度目の資金調達となる。
極麋生物は細胞培養肉の開発に注力する企業で、2021年8月に浙江省杭州市で設立された。細胞を体外で培養することで、動物を傷つけることなく健康的で美味しく環境に優しい本物の食肉を生産することができる。
オランダの培養肉スタートアップ「モサ・ミート(Mosa Meat)」が2013年に世界初となる細胞培養肉を開発してから、培養肉はずっと注目されてきた。米マッキンゼー・アンド・カンパニーのデータでは、細胞培養肉市場は30年までに250億ドル(約3兆3000億円)規模になる見込み。ビジネスとして考えた時に、中国市場のポテンシャルは非常に大きい。細胞培養肉技術によって中国の畜産業のうち10分の1の肉類を供給できれば、生産高は1000億元(約1兆9000億円)以上となる。
しかし細胞培養肉は高コストが大きな課題となっており、事業化にはまずこれを解決しなければならない。
前回の資金調達時に比べると、極麋生物の細胞肉のコストはさらに低くなっており、研究開発プラットフォームの構築にも進展があった。現在、同社は培地のコストを1リットルあたり100元(約1900円)以内に抑えている。これは市場で販売されている培地価格のわずか3%だ。このほか同社は「JEVOS(Jimi Evolution System)」という、中国国内での自動化、ハイスループット化(多数のサンプルを同時に反応、処理するテスト方法)、AI駆動の細胞培養システムを実現したプラットフォームを立ち上げている。
また、同社は以前から無血清培地を使用していたが、さらに培地を循環利用するシステムを開発し、さらなるコスト削減に成功した。細胞に関しては、同社はすでに安定して50回以上の継代培養ができる細胞系を獲得しているという。同社は絶えず製品をリニューアルし、試食によって市場で競争力を持つ優れた製品を作り出している。
極麋生物は細胞生物学、食品工学、機械など様々な専門性を持つ社員で構成されており、動物細胞の無限増殖や、培地の開発、細胞用マイクロキャリアの開発などの分野で豊富な経験を持つ。そのうち細胞培養担当チームのメンバーは大学で哺乳類の細胞培養を研究しており、10年以上の経験があるという。
創業者の曹哲厚氏は英インペリアル・カレッジ・ロンドンの航空宇宙工学科を修了したのち、エディンバラ大学の生命科学科で博士課程を専攻している。中国に帰国後は、胚性幹細胞(ES細胞)の研究をする父を手伝い「杭州原生生物科技」を起業。その後は細胞培養肉を手掛けるようになり、わずか4カ月という期間で極麋生物の初となる人工培養肉の開発に成功している。
(翻訳・山口幸子)
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