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スマートロックの研究開発を手掛けている中国企業「鹿客科技(LOCKIN)」はこのほど、フラッグシップモデルとして「掌心鎖V5」シリーズの「V5 Max」と「V5 Pro」を発売した。同シリーズには、中国のスマートロック業界で初となる手のひら静脈認証技術が導入されている。
今年3月に大手ECサイトのJDドットコム(京東)やアリババ傘下のTモール(天猫)などで予約販売を開始。7日間の売上高が1000万元(約2億円)を超え、3000元(約5万8500円)以上の高価格帯ドアロックで販売量トップとなった。
V5シリーズのデザインで指揮をとったのは、「Apple IIc」などアップルの初期製品のデザインにも携わったエスリンガー氏だ。従来の真っ黒で重厚なスマートロックと異なり、業界初の16ミリ超薄型パネルでドアにフィットしやすい仕様となっている。
V5シリーズに手のひら静脈認証技術を導入する流れは、中国IT大手のテンセント傘下で顔認証技術を開発する優図実験室(X-Lab)との戦略的提携によって生まれた。手のひら静脈認証は、手のひら全体の静脈画像を読み取るため、偽造や複製が困難な上、情報量が多く、双子を正確に見分けることも可能。顔認証よりも速さ、正確さ、安全性に優れ、パネルに触れることなく、手のひらをかざせば解錠できる。
V5 Maxには3D構造化光顔認証も備わっており、スマートロック製品で一般的な双眼3D顔認証よりも正確かつ安全だ。
スマートホームの一部となるV5シリーズは、中国スマホ大手の小米(シャオミ)が展開するIoT家電ブランド「米家(MIJIA)」のスマートエコシステムにもつながっており、スマートスピーカーから遠隔解錠もできる。また、ドアロックがこじ開けられる、ドアの前に人が留まっている、解錠に複数回失敗する、ドアロックの電池残量が減少するといったことなどが起こると、その場に加えてオンラインでユーザーにアラーム通知が届く。
中国のスマートロック業界は消費者向けよりも、ビジネス向けの方が早くから発展してきた。鹿客科技の陳彬CEOによると、同社の製品はBtoB市場で65%以上のシェアを握っているという。
調査会社の洛図科技(Runto Technology)が発表したリポート「中国スマートロックオンライン販売市場月次追跡(China Smart Lock Online Retail Market Monthly Tracker)」によると、2022年の中国スマートロック市場全体の販売台数は1760万台で、前年比3.8%増と市場の成長はやや減速したが、過去最高を更新した。今年の販売台数は前年比8.2%増の1905万台に上る見込みだ。
中国でスマートロックを手がける企業は2022年時点で3000社を超えた。洛図科技の統計によると、22年に496ブランドがオンラインで製品を販売していた。鹿客科技は21年、指静脈認証によって製品の差別化を図り、スマートロック業界で指静脈認証技術の導入をリードしてきた。今年は手のひら静脈認証技術の導入によって、再び業界の技術革新をけん引することになるかもしれない。
(翻訳・大谷晶洋)
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